« 2013年9月29日 - 2013年10月5日 | トップページ | 2013年10月20日 - 2013年10月26日 »

2013年10月18日 (金)

マテバシイ(現代版あすなろ物語)その2

Photo

幼稚園児の孫から電話がかかってくる。
我が家では、先ずおばあちゃんが出ることになっているので、私は黙って聞いている。
「遠足で、ドングリを拾ったよ」「よかったね。どんなドングリ?」
「あのね、大きいのと、細長いのと、ちっちゃいの」「大きいのがコナラで、細長いのがマテバシイ、ちっちやいのは、カシドン」と孫は一生懸命に説明するのだが、この辺りから話がこんぐらがってくる。
「マテバシイ、マテバシイ・・・」と何回繰り返してもおばあちゃんに通じないので、「おじいちゃんに代わってよ」と言うことになり、私の出番が回ってくると言う訳だ。
「マテバシイは食べられるよ」とおじいちゃん。「美味しい?」「美味しかったよ」・・・。
ここからは回想、
終戦の前後、子供は全員腹をへらしていたので、お寺の庭に落ちる椎の実は格好のおやつだった。風の吹いた日の翌朝などは起き抜けに駆け付けてもなかなか拾うことができなかったが、その奥のマテバシイは誰も食べられることを知らなかったようで、楽々と一人占めすることができた。
定年後、早池峰山に登る際に、日本で最後に電気通じたと言うタイマグラの山荘に泊まり、有名な「タイマグラばあちゃんの住いを訪ねた。ばあちゃんは既に他界されていたが、明治・大正・昭和をこの辺境で暮らし、度重なる大飢饉を、「食えるものは、なんでも食って生き延びた」というばあちゃんの料理は、山荘の若夫婦に受け継がれていて、手作りの味噌や冷凍ジャガイモ(凍みホド)料理は味わうことができたが、そのおばあちゃんが、唯一、二度と口にしたくないと言ったのは、水に晒したドングリを粉にして作る団子汁「しだみ」だったと言う。餓えたときに口にした食べ物の味は未だに忘れられないが、いま口にすれば果たしてどんな味がするだろうか。「待てば椎になれる」というマテバシイの実は、正直に言って、椎の実に及ばなかったような気がしている。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年10月15日 (火)

ヒメマツバボタン(現代版あすなろ物語)

Photo_3

ヒメマツバボタンの故郷は南米ブラジル・アルゼンチン辺りで、我が国では1960年前後に渡来が確認されたと言う。園芸植物のマッバボタンそっくりと言うよりも、「マツバボタンの原種はこれだ」と言う説も根強いらしい。 家の周りに芽を出した苗の外見がマツバボタンそっくりなので鉢上げして大事に育てたが、なかなか花が咲かない。「やっと咲いたのをみると、直径5~10mmの貧弱な花で、朝の9時頃に開いて、正午頃には閉じてしまうのでがっかりした」と言う人」があとをたたないらしい。
しかし、この草だけを20年間つくり続けて、屋敷の周りをこれだけで埋め尽くしている老婦人を知っている。年齢は90歳か、もう少し上かも知れない。農家造りの広い庭のある邸宅に住んでいらっしゃる。
通り掛かりに挨拶を交わすようになってから、問わず語りを聞いたところでは、最初はご多聞に洩れずマツバボタンと間違えて育てていたが、「いくら世話をしても、花は大きくならないよ」とからかわれてから意地になり、「せっせと周りの雑草を抜き、肥料をやるなど手をつくしたが、花は一向に大きくならず、葉ばかり茂って、こんなに広がっちゃった」と豪快に笑い飛ばす。
明日はヒノキになるだろうと頑張った井上靖の「あすなろ物語」の現代版である。
散歩の途中のこんな出会いは楽しい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

アケボノシュスラン(よくぞ、生き延びて・・・)

Photo_2

何時、何処え行けば、その花に出会えるかと言う類の情報は、多ければ多い程心を豊かにしてくれる。
大阪郊外の室池園地でアケボノシュスランに出会ったのは平成20年10月7日だった。早速このブログで「アケボノシュスラン(花は曙の空の色)」と題してご報告したが、それを覚えていてくださった花の友から、「是非見たいので、在り処を教えてほしい」との依頼を受けた。
なにしろ5年前のことである。 出会った場所も曖昧だし、人の往来の激しいハイキング道に沿う渓流の畔にあって、盗掘に遭ったかも知れない。 心もとなかったので、思い切って園地の管理事務所に「××道のアケボノシュスランは健在でしょうか」と尋ねると、「昔ほど株数は多くないが、いま丁度花が咲き始め、花弁のピンク色が日増しに色濃くなっています」と言う嬉しい答えが返ってきたので、その旨伝えると、早速出掛けて逢うことが出来たと言う。
アケボノシュスランは、南千島から奄美大島まで、朝鮮半島・中国にも分布し、中国山脈などて時に出会うことがあったが、大阪近郊では室池園地以外の生息地を知らない。大阪府植物目録(1990年版)によれば、やや稀ながら金剛・和泉山系の各所に分布している旨の記載があるが、長年この方面を歩いていて未だに出会ったことはない。 ともあれ、里山の宝石のように美しいアケボノシュスランが府民の憩いの場所である園地に生きながらえていて、花の時期に訪ねれば、必ず逢えるというだけで嬉しい。
付近には、シュスランも咲くと聞いたので、是非訪ねて見よう。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2013年9月29日 - 2013年10月5日 | トップページ | 2013年10月20日 - 2013年10月26日 »