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2013年9月12日 (木)

オオベンケイソウ・ベンケイソウ(花の盛衰)

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(上)オオベンケイソウ (下)ベンケイソウ

花にカメラを向けていると、小学校4~5年生と思われる一団が通り掛かり、「何という花?」と聞くので「ベンケイソウだよ」と答えたが、「ふぅん」と言うだけで反応がない。「牛若丸と弁慶の話は知っているか」と聞いても、首を振るばかりで、会話は途絶えてしまった。

戦前の強さの象徴であり、スーパーヒーローだった「弁慶」の凋落は激しいようで、「弁慶の泣き所」「内弁慶の外地蔵」「弁慶の立往生」など、日常頻繁に使われていた諺も死語に近い。 僅かに、
 弁慶も小町もバカだなぁカカア
と言う古川柳のバレ句だけが、生き残ったようだ。

それと並行して、ベンケイソウの仲間も滅多に見掛けない花になってしまった。今、町で見掛けるベンケイソウは次の3種である。
① オオベンケイソウ・・・関西に多い 他に比べて一回り大きく、華も派手、3葉性
② ベンケイソウ(中国名:景天)・・・花は白桃色、葉は対生、腫れ物・切り傷の民間薬
③ ベンケイソウ(在来種)・・・花は淡紅色、葉は互生、本州中部以北・北海道に分布
他に、ミツバベンケイソウ・ムラサキベンケイソウなどがあるが、インターネットで検索してみても映像・資料共にかなり混同があるようだ。

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2013年9月11日 (水)

コヒルガオ・ヒルガオ(機械化を利用して勢力拡大)

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柳宋民氏の著書で面白い記事を見付けた。

(要旨)アサガオと同じようにコヒルガオ・ヒルガオ(以下単にコヒルガオとする)を品種改良したら、朝は朝顔を楽しみ、昼は色とりどりのコヒルガオを見ることが出来ると思い付いた。 ところがコヒルガオは結実しない。交配して種が採れなければ、品種改良も先ずできないので、あきらめた。   「柳宋民雑草ノオト」p118

この記事は多少補足しなければなるまい。コヒルガオは不稔でなく、自家受粉では実を結ばない自家不和合性の植物である。 他の株の花粉を受けて時々実を結ぶし、コヒルガオとヒルガオが交配して雑種ができることもあるらしい。しかし、頑迷牢固と言うか、余程保守的な種のようで、先祖の姿形を継承して殆ど変異が見られない。子孫繁栄に支障はないかと心配になるが、良くしたもので、家庭菜園の経験のある方はご存知のとおり、地上部を毟られても、蔓を千切られても、切り株や蔓の断片が再生するので、田畑の強害雑草として忌み嫌われている。

更に、最近では土木機械や耕耘機・草刈機など文明の利器を味方に付けて子孫繁栄を図っているのだから恐れ入る。鋤や鍬で土地を耕し、人手で除草していた頃は、一株ずつ根っ子を引き抜いて根絶やしにしていたのに、今は草もろとも鋤き込み、草刈機は地上部だけを刈り込む。結果は言うまでもない。大規模農場ではトウモロコシ・大豆などの成長期とコヒルガオのそれが合致して大繁殖し、茶畑や公園・マンションなどの植込みでは、植木に覆いかぶさって、我が物顔に花を咲かせるという事になる。


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2013年9月10日 (火)

ヒルガオ(見直して欲しい万葉のトップスター)

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万葉時代、この花は貌花(かおばな)と呼ばれて持て囃されていたと言う。貌花は美しい花の総称で、花中の花、並みいる野の花の中でトップスターの扱いを受けていたと言って過言ではないだろう。それを如実に示すのが、大伴家持が婚約者の坂上大嬢(さかのうえのいらつめ)に贈ったこの歌である。

  高円の野辺の貌花面影に見えつつ妹は忘れかねつも

ちょうどその頃に強烈なライバルが現れた。薬用として中国から招来された牽牛子である。上流階層の新しいもの好き、ハイカラ好みは昔も今も変わらない、朝に開いて日が昇ると萎む儚なげな花ということで「アサガオ」と呼んで珍重され、在来のザ・貌花は「ヒルガオ」と名を変えさせられてトップスターの座から降り、唯の野の花として歌に詠まれることも少なくなってしまった。
近世になって、この花に注目したのは、意外や意外、情熱の歌人与謝野晶子である。 

 ひるがほは何処に見ても我が脱ぎし衣と覚えてあわれなつかし
 遠方のものの声より覚束なみどりの中のひるがほの花
 あわれともあじけなしとも恋しとも言いたげなりやひるがほの花
 木の下に雨を覗けりなつかしき爪の色なるひるがほの花

晶子はヒルガオにアメフリバナの異名のある事を知っていたのだろうか。祇園の夜桜を詠ったような華麗な妖艶さはないにしても、可憐な中にどことなく色っぽさを秘めたヒルガオの風情を詠み込んだ秀歌としてかねかね愛唱している。 ともあれ、ヒルガオはもう一度見直していただきたい身近な野の花の一つである。

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2013年9月 8日 (日)

オサバグサ(56年目の出会い)

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この花を知ったのは、戦後暫くして大阪で開催された「日本アルプスの花」写真展だった。ほの暗い針葉樹林の下で、純白の可憐な花を下向きに咲かせる姿に魅せられて、なんとしても出会いたいと思った。

信州の山を歩くようになって、オサシダによく似た特徴のある葉は直ぐに見分けがついたが、花に出会えない。 5月では早過ぎて花茎が立ちあがっていないし、梅雨の明けるのを待ち兼ねて出掛けると、花はとっくに終わっている。 夏の休暇で仕事仲間の桧枝岐の実家を訪ねた時など、裏山に広がる花期を終えたばかりの大群落を眺めて切歯扼腕したことだった。

「逢えそうで逢えないのは、まるで往年のメロドラマ『君の名は』だね」などと、カビの生えそうな冗談を飛ばしていたが、平成17年に二度目の早池峰山を目指した際、民宿のご主人から「早池峰山の向かいの薬師岳のオサバグサがちょうど満開です」と聞いて、矢も楯もたまらずスケジュールを変更して出掛けて撮影したのが、上の写真である。(オサバグサの花期は短い、この時も1~2日遅く、散り始めていた) 見初めて思いを遂げるまで56年掛かったことになる。
オサバグサは1属1種、ケシの仲間で貴重な日本の固有種である。

時間に制限の多い素人の愛好家にとって、「逢いたくて逢えない花」多いことだろうが、私の場合も、梅雨時に白馬岳山頂に咲くツクモグサなど81歳のこの歳まで逢うことが出来ず、とうとう幻の花になってしまった。

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