ヒメマツバボタン(現代版あすなろ物語)
ヒメマツバボタンの故郷は南米ブラジル・アルゼンチン辺りで、我が国では1960年前後に渡来が確認されたと言う。園芸植物のマッバボタンそっくりと言うよりも、「マツバボタンの原種はこれだ」と言う説も根強いらしい。 家の周りに芽を出した苗の外見がマツバボタンそっくりなので鉢上げして大事に育てたが、なかなか花が咲かない。「やっと咲いたのをみると、直径5~10mmの貧弱な花で、朝の9時頃に開いて、正午頃には閉じてしまうのでがっかりした」と言う人」があとをたたないらしい。
しかし、この草だけを20年間つくり続けて、屋敷の周りをこれだけで埋め尽くしている老婦人を知っている。年齢は90歳か、もう少し上かも知れない。農家造りの広い庭のある邸宅に住んでいらっしゃる。
通り掛かりに挨拶を交わすようになってから、問わず語りを聞いたところでは、最初はご多聞に洩れずマツバボタンと間違えて育てていたが、「いくら世話をしても、花は大きくならないよ」とからかわれてから意地になり、「せっせと周りの雑草を抜き、肥料をやるなど手をつくしたが、花は一向に大きくならず、葉ばかり茂って、こんなに広がっちゃった」と豪快に笑い飛ばす。
明日はヒノキになるだろうと頑張った井上靖の「あすなろ物語」の現代版である。
散歩の途中のこんな出会いは楽しい。
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