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2013年9月 8日 (日)

オサバグサ(56年目の出会い)

Photo
この花を知ったのは、戦後暫くして大阪で開催された「日本アルプスの花」写真展だった。ほの暗い針葉樹林の下で、純白の可憐な花を下向きに咲かせる姿に魅せられて、なんとしても出会いたいと思った。

信州の山を歩くようになって、オサシダによく似た特徴のある葉は直ぐに見分けがついたが、花に出会えない。 5月では早過ぎて花茎が立ちあがっていないし、梅雨の明けるのを待ち兼ねて出掛けると、花はとっくに終わっている。 夏の休暇で仕事仲間の桧枝岐の実家を訪ねた時など、裏山に広がる花期を終えたばかりの大群落を眺めて切歯扼腕したことだった。

「逢えそうで逢えないのは、まるで往年のメロドラマ『君の名は』だね」などと、カビの生えそうな冗談を飛ばしていたが、平成17年に二度目の早池峰山を目指した際、民宿のご主人から「早池峰山の向かいの薬師岳のオサバグサがちょうど満開です」と聞いて、矢も楯もたまらずスケジュールを変更して出掛けて撮影したのが、上の写真である。(オサバグサの花期は短い、この時も1~2日遅く、散り始めていた) 見初めて思いを遂げるまで56年掛かったことになる。
オサバグサは1属1種、ケシの仲間で貴重な日本の固有種である。

時間に制限の多い素人の愛好家にとって、「逢いたくて逢えない花」多いことだろうが、私の場合も、梅雨時に白馬岳山頂に咲くツクモグサなど81歳のこの歳まで逢うことが出来ず、とうとう幻の花になってしまった。

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