キハギ(万葉時代はハギが人気№1だった)
万葉時代の人気№1の花は「ハギ」だったと言えば驚かれる方もあるだろうが、その方面の権威中尾佐助博士は著書「花と木の文化史」で、万葉集に詠われた花の頻度は、
① ハギ 138 ② ウメ 118 ③ 松 81 ④ 藻 74 ⑤ タチバナ 60
ハギの頻度は141・142とする資料もある
外来のウメを除けば、ハギとタチバナだけと言うのがちょっと寂しい。人気№1のハギにしても、飛鳥の地で見られるのは、ヤマハギ・マルバハギとこのキハギなど里山に咲く比較的おとなしい品種ばかりで、花の大きいケハギは日本海側に分布し、ケハギの園芸品種といわれるミヤギノハギはまだなかった筈なので、春の「観梅」となならんで、秋の花見と称された「萩狩り」も、随分地味な行事だったのではないだろうか。
蛇足かも知れないが、国語教師から「萩は峠などと同様に日本人が作り出した和製漢字の傑作で、日本人の感性の豊かさを示す好事例だ・・・」と聞かされていたのに、後日、「萩」は中国にあって「ヨモギ」を指し、ハギは「胡枝子」と表記すると知ってガッカリしたが、いま、こうして並べてみると「萩=ヨモギ」・「ハギ=胡枝子」よりも、「ハギ=萩」の方が感覚的にピッタリク来るように思える。
「青は藍より出て、藍より青い」の諺通り、日本人の繊細な感覚の方が一枚上と主張すれば、本家の中国は「盗人猛々しい」を反発して国際紛争の火種になりかねないので、この辺りでやめて置こう。
私見だが、、華やかなミヤギノハギよりも、このキハギの方が余程好ましい。一見地味に思えるが、白地に赤紫色の斑がハッとするほど新鮮で、江戸前の小粋さとでも言おうか、浴衣の柄などにデザインすれば引き立つに違いないと密かに期待している。 どなたか手を染めて見ませんか。
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