ネムノキ(合歓が咲いたら梅雨が明ける)
ずっと幼い頃、祖母がお寺の庭のネムの大木を眺めて、「合歓が咲いたら梅雨が明ける…」と呟いていたことを思い出す。子供心に「梅雨が明ける頃に合歓が咲く・・・」が正しかろうと思っていたが、「うっとおしい梅雨が明けたら、直ぐに土用の猛暑がやってくる・・・、かなわんなぁ」と言う老人の繰り言には「合歓が咲いたら・・・」の方が相応しいかも知れないと思うようになったのは、祖母の年齢を超えた、つい最近のことである。もう一つ思い出されるのが、祖母に教えられたのか、それとも母が口遊んでいたのかはっきりしない童謡がある。
遠くにちらちら宵明かり ねんねんねむの木葉をとじた
おねむになったらおやすみ グンナイ グンナイ
「宵明かり」などと言う古い表現、「グンナイ グンナイ」などと言う泥臭く訛った英語のフレーズからして、戦前のものかとも思うが、グーグルで検索して見ても、表題、作詩・作曲家、制作年代など何一つ解らない。
どなたか、ご存知の方はいらっしゃいませんか。
ネムの仲間は全世界で800種もあると言うのに、全部熱帯・亜熱帯に分布し、寒冷地に生えるのはネムノキ一種類しかない。生態も変わっていて、ネムの由来が示す通り、葉が夕方に閉じるが、丁度その頃に開く花は翌日の午後に散る。「合歓」は中国語で、葉が夕刻に閉じる就眠運動を、若い男女が抱き合って眠る情景に見立てたと言う。その粋なエピソードは万葉時代に知られていたらしく、紀女郎と言う若い女性が、恋人の大伴家持に贈った歌が残されている。
昼は咲き 夜は恋い寝る 合歓木の花 君のみ見めや わけさえに見よ 万葉集 8-1461
逐語解釈を省略して要約すれば、「共寝するネムのように、私たちもどう?」ということらしい。
万葉娘もなかなか大胆ですなぁ。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
「おねむになったらお休み」の歌を知りたくてネット検索していたらこちらのブログに辿りつきました。
その後、この歌の事は何か分かりましたか?
投稿: ばんび | 2012年9月 8日 (土) 23時17分
こんにちは、初めまして。
私もこの歌を探して探してこちらへ辿り着きました。
で、突き止めましたので勝手にご報告に参りました!!
タイトル:グッナイト
作詞:藪田義雄 作曲:小村三千三
です。児童合唱団によるCD、楽譜集などは入手可能のようです。
ユーチューブでも一番だけですが聴けます。
子供の頃、レコードが家にあったのですが、小さかったのでうろ覚えでして。
「グッドナイト」ではなくて「グッナイト」道理で検索に引っ掛かりにくいはずです(^^;ゞ
あまり嬉しかったのでお邪魔してしまいました、失礼しました。
投稿: ナカイ | 2012年11月29日 (木) 19時44分