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2012年7月25日 (水)

ネムノキ(合歓が咲いたら梅雨が明ける)


Nemu_2
ずっと幼い頃、祖母がお寺の庭のネムの大木を眺めて、「合歓が咲いたら梅雨が明ける…」と呟いていたことを思い出す。子供心に「梅雨が明ける頃に合歓が咲く・・・」が正しかろうと思っていたが、「うっとおしい梅雨が明けたら、直ぐに土用の猛暑がやってくる・・・、かなわんなぁ」と言う老人の繰り言には「合歓が咲いたら・・・」の方が相応しいかも知れないと思うようになったのは、祖母の年齢を超えた、つい最近のことである。もう一つ思い出されるのが、祖母に教えられたのか、それとも母が口遊んでいたのかはっきりしない童謡がある。
    遠くにちらちら宵明かり ねんねんねむの木葉をとじた
            おねむになったらおやすみ グンナイ グンナイ
「宵明かり」などと言う古い表現、「グンナイ グンナイ」などと言う泥臭く訛った英語のフレーズからして、戦前のものかとも思うが、グーグルで検索して見ても、表題、作詩・作曲家、制作年代など何一つ解らない。
どなたか、ご存知の方はいらっしゃいませんか。
ネムの仲間は全世界で800種もあると言うのに、全部熱帯・亜熱帯に分布し、寒冷地に生えるのはネムノキ一種類しかない。生態も変わっていて、ネムの由来が示す通り、葉が夕方に閉じるが、丁度その頃に開く花は翌日の午後に散る。「合歓」は中国語で、葉が夕刻に閉じる就眠運動を、若い男女が抱き合って眠る情景に見立てたと言う。その粋なエピソードは万葉時代に知られていたらしく、紀女郎と言う若い女性が、恋人の大伴家持に贈った歌が残されている。
   昼は咲き 夜は恋い寝る 合歓木の花 君のみ見めや わけさえに見よ  万葉集 8-1461
逐語解釈を省略して要約すれば、「共寝するネムのように、私たちもどう?」ということらしい。
万葉娘もなかなか大胆ですなぁ。


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2012年7月14日 (土)

タカネトリカブト(標高3,000メートルのトリカブト)

Photo_2<
花の友からメールがあり、「お前さんは木曽御岳と周辺の山をかなりあるいているようだから、この辺りで撮影した写真を見せてくれないか」と言う一風変わった依頼を受けた。依頼人は高山植物のコレクションマニアで、我が国の高山に分布するトリカブト属の収集をしているらしい。
協力するに吝かでないので、木曽御岳・木曽駒ヶ岳・乗鞍岳・恵那山などで撮影した写真を見繕って送ったら礼状に添えて、」「雰囲気のある写真が多いが、分布に資料にするにはピンポイントの情報が少ないし、分類の参考にするには、花序・花・茎・葉をもっと正確に撮る必要がありますね」とあった。
察するに彼の意図は、幻の花といわれるオンタケブシを撮影していないかをチェックすることにあったらしいが、それが見当たらず、全部タカネトリカブトなのでがっかりしたらしい。
ちなみに、タカネトリカブトは学名を Aconitum ziguzag Lev et vant で、茎がジグザグに折れているので、この名がついたと言う。 私にとっては標高3000メートルの御岳・飛騨山山頂で撮影した貴重な写真であり、この種の特徴はしっかり捉えている筈なんですが・・・


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