ノミノツヅリ(隙間植物たちよ、頑張れ)
舗装道路のコンクリートの割れ目などに生えている隙間植物といわれる植物に目を向けてみよう。
隙間植物とは、人間の社会で言う「隙間商法=ニッチ戦略」を実践し、見事な存在感を示す植物群をいう。
総体に舗装道路のコンクリートやアスファルトの割れ目は、
① 冬は極寒、夏は灼熱地獄で、1日の中でも寒暖の差はきわめて大きい
② 土砂がほとんど堆積していないので、乾燥しやすく、栄養分は極端に少ない
など、植物の生育環境としては最悪といって差し支えあるまい。
4月20日、その生態を観察するために、自宅の近所を歩いてみると、ツメクサ・トキワヅタ・アリアケスミレ・ヒメスミレ・ノジスミレ・ホトケノザ・ノボロギク・ナガミヒナゲシ・ツタバウンラン・ヒメツルソバ・セイヨウタンポポなど品種の多いことに、改めて驚かされた。
その中で、軽量級の世界チャンピオンがノミノツヅリである。
ノミノツヅリを漢字で書けば「蚤の綴」、綴は粗末な衣装(ボロ)だから、ボロをまとった蚤の様な小さな雑草を意味するが、主な生育場所が、コンクリートの割れ目、鉄道線路のゴロ石の隙間、河原の砂利の中・・・と言うのだから、ブルーテントの住民扱いをされても仕方あるまい。
ところが、この「路傍の紳士」が端倪すべからざる生命力を発揮して、世界雑草にのし上がってしまったのだから驚く。 その成功の秘訣は、「省エネ」の一語につきるらしい。
なにしろ、茎は細く、葉や花も小さい。1個の果実に含まれる種子は数百個というのにきわめて微細で、触れば埃のように飛び散るので、元手(栄養分)はきわめて少なくてすむ。乾燥には滅法強く、一見して枯れているように見えても、一雨くれば蘇り、翌日には花を咲かせ、花が終われば直ぐに実が熟して、大急ぎで種子を散布する。
思えば、寒さが遠のいて雨が降り、地面が湿るこの時期が隙間植物達の子孫繁栄のための、1年1回の絶好のチャンスである。 灼熱の夏がくる前に「大急ぎで、頑張りなさい」と激励したくなる。
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