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2012年3月 4日 (日)

カノコソウ(定点観察の必要性)

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最近、若い山野草の愛好家と話をする度に、「できれば、場所を定めて、四季おりおりの観察を続けるといいよ」と言い続けている。私の場合、若いころから転勤の都度、新しい土地で気ままな花ウォツチングを楽しんできたが、リタイア直前に仲間を語らって岡山・兵庫の県境に晴耕雨読の拠点を持ち、7年間の亘って毎月数日間その地の植物をじっくり観察する機会の恵まれ、都会生活の合間のハイキングや偶の登山や旅行では知ることのなかった植物の生態に触れられたことを今になって、心から感謝している。
その中には全国的にも希少とされるオチフジ・マヤラン・コヤスノキなどとの感激的な出会いがあったりしたが、このカノコソウなども思い出の花の一つである。
図鑑類でも、全国的にやや稀とあり、京都府では絶滅危惧Ⅰ類、大阪府・奈良県でも危急種としており、私自身も伊吹山でしか出会ったことがなかったのに、因幡街道沿いの谷間では各所で見られるうえ、民家に庭にも植えられているので驚いた。もっともこの草は漢方で「吉根草」と呼ばれ、神経過敏症・ヒステリー症の鎮静効果で知られるほか、特有の香気がある所から、煙草の匂い付けのために政府が栽培を奨励し、昭和初年には大量にヨーロッパへ輸出したと言うから、当地で煙草栽培が盛んだったころの名残かも知れない。
現地でいろいろ聞いてみたが、知る人はなく、ハルオミナエシの異名の通り花が美しいので、仏花として栽培していると言うことだった。

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