イズセンリョウ(春日山原生林の大群落)
イズセンリョウは、本州の関東以南・四国・九州の広葉樹林の樹下に生える常緑の低木で、特に伊豆半島に多いので、この名が付いたと言われているが、近畿地方でもそんなに珍しい木ではない。 4~5月に咲く白い花も地味なら、秋に塾す実もセンリョウのように赤くはならないので、殆ど目立つことはない。しかし、ひっそりと控え目な中になんとも言えぬ雅趣が感じられるので、山での出会いを楽しみにして木であつた。
ところが、春日山原生林を歩いて、ナギの純林の下などに大群落を作っているのを見て驚いた、その圧倒的な株数の多さに呆れるとともに、従来の控えめな木という先入感が一挙に吹っ飛ばされる思いがした。
ご案内していただいた春日神社の神官のご説明によれば、手厚い保護を受けて大繁殖した神鹿が手当たり次第に下草や小低木を食い荒らすので、原生林の植生は大きく変り、鹿が好まぬナギ・アセビ・イズセンリョウに加えて新参のナンキンハゼなどj数種のj樹木だけが増殖して、樹木の構成が偏ってきたとのことである。
老樹は依然として健在だが、後継の若木に今ひとつ元気がないと言う現状は、どこかの国に似ているような気がして、ほろ苦い思いをさせられた。
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