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2010年3月23日 (火)

ハルサザンカ(その来歴を探る)

Photo_5 万博自然園の椿苑の一角にハルサザンカのコーナーがあり、今年「笑顔(写真上)」「御美衣(写真下)」という二つの魅力のある花を撮影することができた。 ハルサザンカが、わが国の特産種でサザンカとヤブツバキが自然交配して生まれ、牧野富太郎博士によって命名されたと聞いていた が、その来歴が知りたくてインターネットを検索を試みた。                              

従来は、図鑑類や手持ちの文献などをあれこれ探しても、なかなか見つけることが難しかったのに、いまは少し辛抱強く検索すれば、かなり専門的な情報を入手することができ、居ながらにして高齢者の好奇心を満たしてくれ、往時に比べ隔世の感がある。 

検索の結果、長崎県平戸島に現存する樹齢400年、「凱旋」と言う品種名を持ち、天然記念物に指定されている1本の木まで遡ることができるらしい。               Photo_6

江戸時代は花卉園芸の黄金時代で、全国一円に愛好家が散在し、多様な品種を作出するとともに、克明な記録を残しているが、ハルサザンカについては1,730年以前の記録はないようだ。「凱旋」の周囲には、その係累と思われる木が多いが、DNA鑑定の結果、すべてにその遺伝子が認められると言う。今回撮影した「笑顔」は、350年前から知られた品種だが、

「凱旋=サザンカ×ヤブツバキ」×ヤブツバキ×ヤブツバキ

という複雑な交配の結果生まれたことが確認されると言う。この1本の木からすべての品種がうまれたと言うわけではないだろうが、隣の佐賀県にはサザンカの見事な自生地があり、熊本県では肥後サザンカの名品が生まれたことから推して、平戸島でハルサザンカが生まれたとする推理に軍配を上げたくなってくる。

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2010年3月 5日 (金)

フラサバソウ(身近な帰化植物①)

Photo_5 近所を散歩していて、顔見知りのご婦人が数人垣根の傍にじゃがみ込んで、口々に「わぁ、かわいい」「オオイヌノフグリではなさそう」「よくみると綺麗だね」と騒いでいらっしゃる。

「なんと云う花ですか」と聞かれたものだから、

フラサバソウと言うヨーロッパからの帰化植物で、花の直径は3mm前後、オオイヌノフグりの仲間です。日本へは明治の初年に帰化していたことが、長崎に来たフランシェとサヴァチェという二人の植物学者によって記録されていたが見過ごされ、1937年(昭和12年)に再発見された際に、最初に見つけた二人の学者に敬意を表してフラサバソウと名付けました。

となけなしの蘊蓄を披露する羽目になってしまつた。

最近中高年の山野草熱が高まって散歩の途中に撮影していると、「この花はなん云いますの」などと声を掛けられることが多くなったが、しゃがみこまないと気がつかぬ、こんな地味な野草にまで関心が及んでいると知って、嬉しくなった。

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