スズカケソウ(珍草に出会う)
大阪近郊の水路で、トラノオスズカケが毎年美しい花を咲かせるのを観察し続けてきたが、その中に葉茎にビロード状の軟毛が密生するものが混じっているのを発見し、花の咲くのを待つわびていたところ、トラノヲスズカケより1か月以上も早く開花、その花を見て近縁のスズカケソウであることを確認した。
和漢三才図会(江戸時代初期刊行)に既に記載があり、牧野富太郎博士の植物図鑑(旧版)では、「阿波祖谷に自生がありというが、はたして信乎」と言われて、明治時代以降幻の野草とされていたらしいが、1,989年に徳島県貞光町の川の側のやや暗い斜面で発見され、ほぼ野生種と確認されたほか、岐阜県・鳥取県からも報告されているものの、自生種かどうか疑問視されていると言う。(今でも中国から渡来した栽培種が逸脱したという説が根強いようだ)
今回ご報告する場所は、茨木市宇野辺の民家で、前を流れる用水路の石垣の間から数株立ち上がって花を咲かせているが、同じ場所に生えるトラノオスズカケの一部がプランターで栽培されている所をみると、同時に入手して栽培されていたものが、逃げ出したものと推定せざるを得ない。
クワガタソウ属(ベロニカ属)の近縁種らしく、吸い込まれるような青紫色の花色が魅力的で、山伏の装束「鈴懸け」に由来するという花序が葉腋に連なって、独特の雰囲気を醸し出している。
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