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2009年6月29日 (月)

スズカケソウ(珍草に出会う)

Photo 大阪近郊の水路で、トラノオスズカケが毎年美しい花を咲かせるのを観察し続けてきたが、その中に葉茎にビロード状の軟毛が密生するものが混じっているのを発見し、花の咲くのを待つわびていたところ、トラノヲスズカケより1か月以上も早く開花、その花を見て近縁のスズカケソウであることを確認した。

絶滅危惧ⅠA類(CR)指定の珍草である。                                              Photo_2                                                

和漢三才図会(江戸時代初期刊行)に既に記載があり、牧野富太郎博士の植物図鑑(旧版)では、「阿波祖谷に自生がありというが、はたして信乎」と言われて、明治時代以降幻の野草とされていたらしいが、1,989年に徳島県貞光町の川の側のやや暗い斜面で発見され、ほぼ野生種と確認されたほか、岐阜県・鳥取県からも報告されているものの、自生種かどうか疑問視されていると言う。(今でも中国から渡来した栽培種が逸脱したという説が根強いようだ)

今回ご報告する場所は、茨木市宇野辺の民家で、前を流れる用水路の石垣の間から数株立ち上がって花を咲かせているが、同じ場所に生えるトラノオスズカケの一部がプランターで栽培されている所をみると、同時に入手して栽培されていたものが、逃げ出したものと推定せざるを得ない。

クワガタソウ属(ベロニカ属)の近縁種らしく、吸い込まれるような青紫色の花色が魅力的で、山伏の装束「鈴懸け」に由来するという花序が葉腋に連なって、独特の雰囲気を醸し出している。

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2009年6月 8日 (月)

キクガラクサ(玩物喪志か道楽か)

Photo 本名キクガラクサ、別名をボロギクと言うそうですが、共にこの可愛い小花に相応しい名前とは言い難いと思っています。

ゴマノハグサ科キクガラクサ属に分類されていますが、キクガラクサ科をたてる意見もあるようですね。

環境庁の絶滅危惧種Ⅱ類(VU)に指定されている1属1種の植物なので、一度は野生の状態で出会いたいと思い、分布の中心とみられる岡山や四国野山を歩く都度気を付けておりますが、なかなか出会えぬ幻の花でした。 偶々インターネットを検索していて、京都南部で70年ぶりに発見されたことを知り、次いで3年前に大本教花明山植物園で対面することができました。京都府自然環境目録・京都植物に光田重幸・村田源氏と並んで当植物園長の津軽俊介氏の名前が記載されていることから推して、70年ぶりに発見されたものが株分けして栽培されているのだろうかと勝手に想像しております。

結構気難しい植物のようで、京都植物園でも栽培されていますが、未だ花を見たことはありませんが、大本教植物園(6月2日)では、見事に花を咲かせておりました。

こんな小花に血の道をあげて追っ掛けるのは「玩物喪志」の誹りを免れまいと自覚はしつつも、人畜無害の道楽として、これに優る楽しみはあるまいと自画自賛している次第です。

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2009年6月 1日 (月)

コゴメバオトギリ(高速道路のインターに咲く花 その2)

Photo 高速道路周辺のの帰化植物の勢力争いは過酷で、その栄枯盛衰の激しさには驚かされますが、この中にあって、最近急激に勢力を伸ばしているのがこのコゴメバオトギリソウです。

10年程前までは、道路沿いの日溜まりにポツポツを咲いている可憐な花として出会いを楽しんでいましたのに、あれよあれよと言う間に蔓延し、今日、この花を撮影した名神高速道路の吹田インター辺りでは肩道を黄金色に染めんばかりの勢いでした。 

3月頃に初花を咲かせ、11月頃まで延々と咲き続く逞しさにも驚かされます。                             Photo_2

欧米でセントジョーンズ・ワートと呼ばれるセイヨウトトギリソウの変種で、ヨーロッパ原産の植物ですが、今ではユーラシア大陸の温暖帯に広く勢力を拡大し、北アメリカにも帰化して牧場の強害雑草となつていると聞きます。我が国へは1934年に渡来、漸次勢力を広げて霧ヶ峰草原にまで進出していると言う記事を目にしたことがあります。

性質が強壮なだけあつて、薬効も顕著で、ギリシャ・ローマ時代から、深い矢傷・刀傷の治療薬として重用されてきましたが、最近ドイツ始め欧米の各国で、副作用のない抗鬱剤として需要が急増する一方で、全草から抽出するエキスに美肌効果・育毛効果があるとして、化粧品・乳液・アフターシェーブローションなどに添加されているようです。しかし、多用すれば感光性の皮膚炎(皮膚癌)を誘発する危険性があると言うから、素人療法は禁物だそうです。

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