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2009年5月31日 (日)

ナベワリ(花のネーミングは難しい)

Photo 貴方は、山道で珍しい花の在り処を知っていて、通り掛りの同好の士に、それを教える方ですか、それとも教えない方でしょうか・・・、以前に、教えた人に盗掘された苦い経験があるものですから、私の気持は微妙です。

しかし、こののナベワリは、親切に教えて貰わなかったら、金剛山に生息していることすら知らなかったことでしょう。

それはある渓への分岐点の道標の裏に隠れるようにして、小さな群落をなし、ナルコユリかアマドコロに似た葉の腋から、長い花柄を伸ばし、あの特異な花を咲かせ始めたばかりでした。 4枚の花被片は淡緑色で、そのうちの1枚だけPhoto_3 が大きいという非対称形、花を裏を返せば朱赤色の鮮やかな花芯(雄しべと雌しべの塊)が目に飛び込んできます。ナベワリ属は日本に2種、北アメリカに1種しかない小さな属だと聞きました。

ナベワリという和名は、舐めると舌が割れるほど強烈な毒を持っているので「舐め割り」と名付けたものが、いつの間にか訛って「ネベワリ」なったという説で統一された感がありますが、多くの地名伝説と同じで、少し眉唾臭い。 和名について常に一家言のある牧野富太郎博士の植物大図鑑も同じ説を採っているのを見て「博士、貴方も・・・」と言いたくなりました。

花のネーミングは難しい。このナベワリにもヨシノシズカ(吉野静)という良い別名があるらしいのに、普及していないところを見れば、世の中必ずしも「良貨が悪貨を駆逐する?」とは限らないようですね。

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2009年5月30日 (土)

トガリバツメクサ(高速道路のインターに咲く花)

Photo 関心の範囲は在来の山野草だけで、帰化植物は見向きもしないと言う人でない限り、都市近郊は、新しい植物との出会いを楽しむことができる貴重なフィールドですが、つい最近、名神高速道路の吹田インターに近畿自動車道が合流する辺りの高架下で、一つの新しい帰化植物の群落を発見しました。

原色日本帰化植物図鑑によって

①エノコログサに似た穂状の花序と細長く突き出す淡紅色の旗弁                                                Photo_2                                                   

②学名の由来となった、細く先の尖った3小葉からなる特徴ある葉(托葉は下部3分の2が葉柄と合着して茎を取り巻く)

からして、地中海沿岸地方原産のトガリバツメクサと推定し、念のためにインターネットを検索したところ、驚いたことに1953年に三重県の津市で発見されたと言う古い履歴を持つ種だと言うのに、画像のデータがありません。

写真で見る通りの特異な花穂を持ち、1か所に1000株を超える大きな群落を作っている生息状況からして、目立たない筈はないと思うのに、データが少ないのはなぜでしょうか。  お教えください。  

学名 Trifolium angustifolium(幅の狭い葉を持つ) L

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2009年5月28日 (木)

アサザ(汚水の中のアサザ)

Photo_3 5月27日、定点観察をしている大正川の堤を歩いて、今年もアサザが無事に花を咲かせてことを確認した。

アサザは湖沼の水質汚染と冨栄養化によって、急激に日本列島から姿を消しているということで環境省が絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定している植物だが、不思議なことに、万博公園を水源として吹田・茨木・摂津3市の住宅密集地を通って淀川に合流する大正川には、十数か所に亘って点々と小群落を作って生息している。      Photo_5

元々、当地の湖沼に自生していたわけではなくて、万博公園辺りに植栽されていたものが逃げ出した公算が大きいが、私が観察し始めてからでも20年余、生活排水が容赦なく流れ込み、川底に汚泥がたまったこの川のなかで、「泥中のハス」ならぬ「汚水の中のアサザ」として生き続け、むしろ株数を増やしているところを見れば、アサザは汚染や富栄養化には強い植物で、衰退の原因は他にあるのではないかと疑いたくなる。

大正川の流域は、万博を機に一挙に開発され、田畑を失っているので、生活用水は大量に流れ込む反面、農薬が流れ込むことは少ないことから推して、「アサザ衰退の原因は農薬にある」と結論付けるのは早計に過ぎるだろうか。  識者のご意見を伺いたい。

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