キカラスウリ(地上の惑星)
年末雑用に追われ、名神高速道路吹田インターの側壁に蔓を伸ばすキカラスウリを忘れていたので、新年に訪ねると十数個の実が地面に散乱していた。カラスに突っつかれたのか、蔓が枯れて重みに耐えかねて落ちたのか、かろうじて残った数個の実を撮影することができた。
直径6cmを超えるマルマルとした果実が冬の日に輝いて「地上の惑星」のように見える。
真っ赤な実をつけるカラスウリの方は、里山の麓まで出掛けないと見ることはできないが、キカラスウリは都会の空地にも平気で、むしろそんな人臭い場所を好んで生えるような気がする。 そのキカラスウリを継続的に観察していると、典型的な省エネ植物で、なりふり構わずケチに徹して蓄財に励み、子孫の繁栄を図っている様子が感じられて思わず苦笑させられる。 そのガメツさを列挙してみよう。
①茎はできる限り細くし、長く伸ばして木や壁を伝い、なるべく上に出て場所を確保する
②広くて大きい葉を重なるように広げて太陽の光を独占する
③稼いだエネルギーを澱粉に変えて、せっせと地下の根の貯蔵庫に貯め込む。(この澱粉から作られるのが「天花粉」で幼い頃お世話になりました)
④花は房状で、元手以上に大きく見せる工夫があり、夜行性のスズメガと花粉媒介の独占契約を結び、ガが活動する夜だけ開いて、朝には萎れる
⑤夏の終わりに、蔓の先端が地面にもぐり、地下にナンキンマメのような小イモを作って無性繁殖する (ちゃっかりと生存保険を掛けている)
⑥中がスケスケなのに種子が一杯詰まった果実は丸くて大きく、鮮やかな黄色は広告効果抜群である
ちゃっかりした植物ですね。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント