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2008年12月31日 (水)

キダチアロエ(「医者いらず」の首席代表)

Photo

秋が深まると、何気なく通り過ぎる民家の庭先のキダチアロエの花穂が伸びて、美しい花を咲かせてくれるので、日頃の散歩が一段と楽しくなる。

戦前のことになるが、アロエは祖母の専売特許の感があり、虫に刺されたり、手の甲や耳たぶに霜焼ができると、なにはともあれ、縁側の日溜まりにすらりと並んだ鉢のアロエの葉をを千切ってきて、追い掛け回されたものだった。

家族の誰かが便秘といえばアロエ、風邪気味・胃が痛むといってもアロエだったが、使った葉は捨てられることなく、液汁を何度となく顔や手足に刷り込み、人から「御隠居さんはお若い、顔色がいい」と褒められると、「アロエのお蔭です」と嬉しそうに答えていたことが思い出される。

民間で「医者いらず」と言われている植物は多い中で、アロエは間違いなく首席代表の地位を占めると思われるが、その主な成分と薬効は次の通りである。アロイン(健胃・緩下剤)・アロエニン(前に同じ)・アロエウルシン(抗潰瘍)・アロエエモジン(健胃・緩下剤)・アロエシン(抗菌・抵カビ・解毒・美肌効果)など殆ど万病に効くといわれ、更に最近では抗癌効果まで期待されていると言う。

アロエの仲間は、南アフリカを中心に、地中海沿岸・マダガスカル・カナリー諸島に400~500種が分布するといわれているが、アロエベラを除く全種がワシントン条約によって、保護され、現地からの持ち出しを禁止されている。キダチアロエもそれに該当するが、禁止以前に、これだけ民間に広く普及し、性質強健で、乾燥にも冬の寒さにを耐えて生き続けている限り絶滅の心配はないだろうが、繁殖を挿し木にばかり依然し続けているので、種の劣化を招くことが心配になる。

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2008年12月27日 (土)

ヤマガキ(お前まで中国産なのか・・・)

Photo ヤマガキは里山の構成樹のひとつで、北海道を除いて全国に分布しているが、近畿では六甲山系とその周辺に特に多いような気がする。

12月の初旬に猪名川中流の多田銀山を歩く途中でも、すっかり葉を落とした雑木林の中に、朱色に熟したヤマガキが霄壤とした里山の風景に色を添えてくれていたが、遠出するまでもなく、千里丘陵の東の端に当たる我が家の周辺でも、普通に見ることができる。

そもそも、カキは日本在来の植物で、このヤマガキが永年に亘って選別淘汰されて、現在の富有柿を始め1000種を超えるといわれる果樹としてのカキが生み出されたと信じて疑わなかったのに、実はそうではならしい。 その根拠は、                    Photo_2                     

① ヤマガキなど野生のカキは、人臭いところにだけ生えて、深山には見当たらない。

② 化石化または炭化したカキが見つかっていない。

③ 縄文時代の遺跡(貝塚・住居跡)からカキの種の出土れいがない。

のだと言われてみれば、反論の余地はない。中国原産の栽培品種が稲の伝来の頃に我が国にもたらされ、その後、種子が鳥に運ばれて野生化し、先祖帰りして現在のヤマガキ・マメガキ・リュウキュウマメガキなどが生まれたのだという。

モモ・ウメ・ビワなど日本にも在来種があったとされる果樹の存在が次々に否定される中で、カキまでそうだと聞かされて、思わず「お前まで中国産なのか・・・」と叫びたくなった。

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2008年12月25日 (木)

カンツバキ(ポピュラーなのに来歴に疑問)

Kanntubaki 年の暮に町を散歩していると個人の居宅・学校・公民館の庭や垣根、公園・ロードサイドなど、どこにでも見られる花なのに、出自についてはいろいろの説があって素人には判断できない

①サザンカの突然変異説

②サザンカと交配雑種説

③ユキツバキとユチャ(中国の油茶)との雑種説

④中国渡来説

②が最有力と言うが、他の3説を主張する向きもあるらしい。よく似たハルサザンカは遺伝子分析の結果、サザンカとヤブツバキの数系統との交配種であることが判明したと聞かされたが、カンツバキの方は未だ結論がでていないのだろうか。 古くから主として中国地方で栽培されてきた「獅子頭」が品種改良されて、多数の品種が生まれたといわれているが、

①耐寒性・耐暑性・公害に強い

②成長はやや遅いが、刈り込まれても、萌芽力・復元力が強く、よく茂る

③花の少ない11月~3月に咲き続ける

④挿し木で活着するので苗木の量産が可能

などという長所と経済性を買われて、一挙に全国に広がった。なんだかスーパーマーケットの目玉商品に似て画一的で安っぽい感じがしないでもないが、よく見ると一重咲き・八重咲き、花色も薄紅・赤・白・と多彩で芳香があるのも好ましい。

花弁が1枚ずつ散るところはサザンカに似ている。

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2008年12月 5日 (金)

コクサギ(つむじ曲がりの「紅葉狩」)

Photo 京都の今年最後の紅葉を楽しもうと、八瀬・大原方面へ出掛けたが観光バス・タクシー・個人の乗用車の長蛇の列に怖れをなして、早々に京都植物園に逃げ帰り、コクサギの葉が渋い淡黄色に色付いているのを見付けてほっとした。ところどころ黄緑色の葉が残っているのも、粋な配色である。

コクサギは低山の谷筋などでよく見掛けるなんの変哲もない落葉低木であるが、昔から葉に殺虫効果があることで知られ、中国山脈の山間の村で牛小屋に敷かれていたのを見掛けたことがあるし、枝を払って田んぼの中の野壺にほうりこんでいるのを見て尋ねたら、ウジ(蝿の幼虫)を退治してくれるとのことだった。

ミカン科に属すが、枝や葉に特有の臭気があるのでコクサギを呼ぶらしい。葉の付き方が変わっていて、枝の同じ側に2枚づつ互生する。

真っ赤な紅葉も悪くはないが、つむじ曲がりのウオッチャーには、コクサギ・タカノツメ・コシアブラなど黄白の紅葉も悪くない。

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