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2008年11月25日 (火)

イシミカワ(アメリカに渡った変な害草)

Photo 原産地はインドから東南アジアで、イネと共に伝来した史前帰化植物と思われており、人の居住域にしか生えない。

イシミカワという名前も奇妙で、その由来は、①「石膠=イシニカワ」が訛ったという説、②弘法大師が大阪の「石見川」に生えるこの草を見つけて住民に打撲の妙薬だと教えたという説、③果実の皮が固いので「石実皮」・・・などさまざまな説があるらしいがいま一つピンと来るものがない。

1年草で、芽生えは遅いのに、芽を覗かせるやいなや細い針金のような茎と縦横にのばし、小さな逆棘で他の植物や垣根、門塀にからみつき、あっと言う間に人の背丈をはるかに超える。一見なよなよしているように見えるが、小さな棘は驚くほど固くて鋭利で、触ると飛び上がるほど痛い。        Photo_4

葉も茎も、夏の終わりにひっそりと咲く花も、ほとんど目立つことがないが、盾のようで目立つ苞葉をもつ葡萄状の果実が熟すころになると、俄然脚光を浴びる。果実を包む浅緑色の萼は熟すに従って桃・赤紫・青と色が変わり、霜がおりる頃になると一部の葉や苞葉が紅葉して、この憎まれ者が一時期、しおらしく可憐に見えるところが面白い。

それにしても、タデ科タデ属に奇妙な名を持つものが多いのはなぜだろう。この「イシミカワ」はまたの名を「カエルノツカッカキ=鋭い棘で蛙の面を引っ掻く」と言うし、「ボントクタデ=うすら馬鹿ノタデ」「アキノウナギツカミ=秋の鰻掴み」「ママコノシリヌグイ=継子の尻拭い」と、どれもおかしい。

奇妙なネーミングは、我が国だけではなさそうで、この草の帰化を許した北アメリカでは、その成長の早さに驚いて、「Mile a minute weed=1分で1マイル草」とユーモラスに呼ぶ一方で、家畜の被害に手を焼いて「Devile tale tearthumb=悪魔の尻尾」または「東洋の小悪魔」と呼んで忌み嫌っているらしい。しかし、我が国の牧場も北アメリカ渡来の「アメリカオニアザミ」に手を焼いているのだから、差し引きして「おあいこ」としなければなるまい。

 

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2008年11月21日 (金)

マルバフウロ(または新参の帰化植物か?)

Photo_6 最近、大阪近郊のの果樹園や農道の肩道などで、従来の帰化植物図鑑に掲載されていないフウロソウ属の花を見掛けることが多くなった。

どうやら、地中海沿岸地域を原産地とするヤワゲフウロとマルバフウロらしいと見当をつけているが、やや心許ない。

1977年村田源氏によって命名されたヤワゲフウロの方は、花弁が大きく切れ込んで10弁に見えるなど特徴もはっきりしており、インターネットでも写真入りで紹介されて、大方の認知を受けた感じがするが、マルバフウロ(写真参照?)の方は、Biglobeにもgoogleにも写真の掲載がなく、私の手元には、植村修二が日本帰化植物友の会「帰化植物写真ニュース№6に掲載されている写真しかない。      Photo_8

ここに掲載した写真は、11月18日高野町石道の笠木村落の柿畑の畔で撮影したものだが、季節的に咲き残りの感があり、サンプル写真となし難いと思っているが、はたしてマルバフウロか、それとも未知のフウロソウ属の花だろうか。

戦後の昭和26年に銀行に就職し、京阪神・名古屋・東京ほか地方都市を転勤して歩く傍ら、各地で帰化植物の推移を観察してきたが、植物の方は続々と渡来してくるのに、一部の同好の士を除いては関心を持つものも少なく、図鑑や参考文献も入手できなかったので、素人が名前を知ることもままならぬ状態が続いた。今を思えば隔世の感があるが、それでも未だこのようによく知られていない植物が多いのだから、この世界も奥が深い。じっくりと知見が増えるのを待ちたい。

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ペラペラヨメナ(どの名で呼んでいいのやら・・・)

Photo_5 ペラペラヨメナと言えば、軽薄な印象を受けるものの、中央アメリカ原産とされるこの花は、1949年にキク科植物の権威北村四郎博士が京都大学構内で野生化しているのを見付けて、多少遊び心もあったのか、葉に質が薄いこともあって、ペラペラヨメナという飄逸な名つけられたという、筋目正しい帰化植物であるが、そのあとにペラペラピメジョオン名付けた学者もいて、二つの名を持った。

ところが、エリゲロン属特有の、姿に野趣があり、咲き始めはピンクで、次第に白く色変わりする花が美しく、ほとんど1年中咲き続くところに目をつけた園芸業者が売り出しに際して、ペラペラヨメナでは不味いと判断したのか、「メキシカン・デージー」・「無休菊」・「源平小菊」などと思い思いの名を付けたものだから、「別種と思って購入したら、庭にあるのと同じ種だった・・・」などと苦情が多かったという。「いったいどの名で呼んでいいのやら・・・」と戸惑う人も多いことだろう。                           Photo_4

なにを隠そう、この私も神戸元町のガード下で、小鉢に山草風に仕立てられた「源平小菊」を購入し、株分けして庭の片隅おろしたところ、猛烈に繁殖をはじめて、それと気が付き苦笑させられた一人である。

なよなよとした姿に似合わぬ繁殖力旺盛な花で、神戸の山手などでは、逃げ出したものが、谷筋の石垣の間に根を下ろして、大群落をつくっており、自宅(吹田市)の近辺でも空地に群落を作っている。この写真は高野山山麓の柿農家の石垣で撮影したものだが、おそらく日本全国の各地に生息域を広げていることだろう。

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ペラペラヨメナ

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ペラペラヨメナ

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