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2008年9月22日 (月)

ツルマメ(大豆のご先祖に会いにゆく)

Photo 大豆のご先祖様に会いにゆくといっても、別に身構えることはない。

自宅から数分歩いた空地に蔓を伸ばしているツルマメがそれで、いまちょうど可憐な花をさかせ始めた。

「これが大豆のご先祖ですよ」と説明しても、素直に納得できないらしく、戸惑ったような顔をなさるだけである。しかし、花を仔細にみれば、大豆によく似ているし、花が終わって実が大きくなると、中の豆は貧弱だが、さやは「枝豆」そっくりである。                           Photo_2

大豆は、4000年ほど前に中国の東北部~シベリアの辺りで栽培が始まり、我が国でも縄文遺跡から炭化した豆が発見され、古事記にもその名が記載されている。

ツルマメに関するエピソードを二つ紹介させていただこう。

① ツルマメはシーボルトによって、 Glycine soja Siebold et Zucc という学名が付けられているが、soja は醤油を意味するらしい。 ツルマメが大豆の原種と知らない筈のシーボルトが、どうして大豆から作られる醤油の名前をつけたのだろうか。  それとも知っていたのかしら・・・。

② 除草剤に耐性のある遺伝子組み換えの大豆とツルマメを自然交配させる実験を行ったところ、数万か数十万例の中の一つが結実したと仄聞した。確率はどうあれ、遺伝子組み換え植物と自然の植物が自然交配する可能性があると言うのは不気味ですね。

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2008年9月 9日 (火)

ツルニンジン(韓国薬膳料理の食材)

Photo_2 以前、大阪鶴橋の韓国人街を歩いていたときに、見慣れぬイモに似た食材をみつけて尋ねると「トゥットウ」と言ったか「トトク」といったか、ともかく薬膳料理に欠かせない食材で、「日本でいうツルニンジンの根(正確には根茎)だと」と教えてくれた。

1個当たり数千円するというので「日本の山にも生えているから、採ってきて卸そうか・・・}と冗談を言ったら、「日本のものは効かないよ」と軽くあしらわれた。

中国では広東人参または羊乳、漢方では四葉参と呼び名が変わり、効能は朝鮮人参に準ずるが、朝鮮人参を高血圧系症の人に用いることタブーとされているので、それに代って高級料理または薬用として需要が多いことを、先日放映された韓国のテレビドラマ「チャングムの誓い」で知ることができた。

9月2日、満開のサラシナショウマを楽しむために伊吹山に登ったものの、豪雨に追われて早々に山を下りた。 西遊歩道の道沿いにツルニンジンの花をみたが、薬草の山のツルニンジンの効用はどんなものだろうか。

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2008年9月 1日 (月)

ツレサギソウ(伊吹山の幻の花)

Photo この夏、伊吹山の東遊歩道で、1株だけ花をつけているのを見付けて、懐かしく、急いでカメラに収めた。

やや黄味を帯びて、サギソウに似た小花が多数連なり、総状花序をなして咲くので、ツレサギソウと言うらしいが、割合分布域の広い花で、近畿・中部地方でも散見している。

実は、伊吹山のこの花について、強烈な思い出があるので、ご紹介させていただこう。

20数年前の梅雨明けの頃に、旧伊吹測候所の北方から小径を辿って下山を試みたが、前年の台風の被害を受けて道が寸断されていて、窮地に陥り、道なき道を強引に下って遭難を免れたことがある。

途中何回が崖を巻いたり、トラバースしたりして大汗をかいたが、中腹の崖が崩れた個所を木の根に縋って辿り着いた小さな草原で、ふとみると、30株を優に超えるツレサギソウが群落をなして花を咲かせているではないか・・・。

昔も今も山野草を採掘する気はないし、まして遭難まがいの窮地に陥っている際でもあり、心を残してそのまま通過した思い出がある。

文献によれば「地下には横に伸びるトンボソウ型の根が、絡み合って広がり、途中から新株を作る」とあり、比較的群れをつくり易いランらしいが、その後、伊吹山でも、その他のやまでも、あんなに素晴らしい群落に出会ったことはなく、わたくしにとって伊吹山のツレサギソウは、未だに幻の花になつている。

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