カワラマツバ(郷に入れば郷に従う逞しさ
「郷に入れば郷に従う」と言う諺は、融通無碍な生きざまというようだが、カワラマツバは、その優しい姿に似ずたくましい植物で、乾いた河原・堤防の法面・畦道の路肩から1000mを超える山の崩壊地や草原まで、所を選ばず住み着いて、細い茎の先端に円錐花序を出して、小さくて白い花をいっぱいに咲かせる。
近縁の種にウスギカワラマツバ(薄黄色)・キバナノカワラマツバ(黄色)・エゾカワラマツバ(黄色)があるが、花の色が変わるだけで、姿はそっくりである。 聞くところによればヨーロッパから北アジアに広く分布するキバナノカワラマツバが母種で、カワラマツバはその変種、ウスギカワラマツバは両者の交配種だと言う。
伊吹山山頂は、エゾカワラマツバを除く3種のカワラマツバが混在し、同時に観察できる貴重な場所だが、こうしてイブキジャコウソウの花に囲まれて咲く様子を見れば、河原や土手に生える雑草とは思えず、いっぱし風格のある山草に見えるから嬉しい。
花を嗅ぐと仄かにブドウのような香りがする。
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