サンカクイ(別名 しりくさ・鷺の尻刺しの由来)
サンカクイ(三角藺)が花を付けた。 この草は日本全国の河川敷や泥湿地に生えるが、茎の断面が三角形であることを除けば、さしたる特徴もないので、注意して見る人も少ない。
この草が、「しりくさ」の名で万葉集の相聞歌に詠みこまれていると知り驚いた。
水門葦にまじれる草のしりくさの人みな知りぬわが下思いは
解説を必要としない解り易い歌だが、なぜサンカクイがシリクサと呼ばれたかを知るためには、もう一つの名が「サギノシリサシ=鷺の尻刺」と言うだけでは不十分で、上の写真を見て、花の苞葉が抜き身のナイフのように尖っていることを知らなければ、判じ物のようで見当もつかない。
尖った苞が鷺の尻を突き刺しそうに鋭いというので「サギノシリサシ」の名が付けられ、それが簡略化させて「シリクサ=尻草」となり、「尻」が「知り」の転用されて、歌に詠まれたというわけである。
平凡な草の形状を綿密に観察して相聞歌に詠み込んだ古代人の感性の鋭さとユーモア感覚の豊かさには、ただただ「おそれいりました」と頭を下げざるを得ない。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
野鳥の会 神奈川支部の石井直樹と申します。同支部の機関誌に投稿する「鳥の名前がついた植物」という小文に、貴殿のサギノシリサシの写真を添付したいと思います。
よろしくご許諾のほどお願い致します。
投稿: 石井直樹 | 2015年6月23日 (火) 13時50分