ナニワイバラ(浪速の名が付くオールド・ローズ)
大阪の花文化は、残念ながら非常に貧弱で、植物図鑑を繰ってみても「大阪」または「浪速」と名が付くのはこの花しかない。
(ジンチョウゲ科にナニワズと言う木があるが、浪速に由来するネーミングではなさそうだし、梅に「難波紅」があるが園芸品種名である)
ナニワイバラの由来は、江戸時代に中国から浪速にもたらされて、ここから広がったからだというが、和歌山県はじめ関西のあちらこちらに野生種がみられるので、我が国原産説も根強い。
中国・台湾・ヒマラヤ・ブータンのほかに北米にも隔離分布していて、ジョージァ州ではCherokee roseと呼ばれ、州花として親しまれているらしい。
終戦直後に、どういう経緯があったのか忘れたが、焼け跡に植え付けた株が大繁殖して美しい花をつけ、殺伐とした雰囲気と和らげる役目を果たして喜ばれた記憶があるが、性質は強健で、耐寒性・耐暑性に優れ、病虫害にも強いのに普及しないのは茎・葉など全身を覆う棘が原因だと思われる。棘は一見さしたることはなさそうだが、ちょっと触るだけで、飛び上がるほど痛い。 そのうえ、蔓が剛直で、はみ出した枝を撓めるのにも悪戦苦闘させられる。
さすが浪速の名の付くお嬢さんだけあって、優しそうに見えて一筋縄ではどうにもならない。
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