ツメレンゲ(古典植物に出会う方法)
ツメレンゲが古い農家の藁屋根に生えていて、晩秋に角のような花茎を出して花を咲かせていた風景を懐かしく思い出される方も多いのではないだろうか。 江戸時代の中期に一大ブームが起こって、園芸品種が作出されたと言う古典植物も、今ではすっかり忘れられ、いつのまにか環境省の準絶滅危惧種に指定されているので驚いた。
若い頃、こ生意気にロッククライミングの真似事をしていて、ルートを確保するために、岩場に群生するツメレンゲを払い除けていた思い出があるのに、大阪周辺の山を歩いても、めったに出会うことがなく、JR福知山線の武田尾や道場辺りでかろうじて命脈を保っているに過ぎない。
こうした古典植物に出会うには、古い農家や町屋を歩くに限る。JR京都線の千里丘駅は大阪駅から普通電車で僅か15分という距離にあるのに、駅から5分歩けば藁屋根の旧家に出会うし、農家の面影を色濃く残した家並みを見ることが出来る。 この花は初詣の途中に旧家の庭先で見付けて撮影させていただいた。
ツメレンゲは成長が極めて遅く、若い株が花を咲かせるのに10年以上掛かるケースもあるが、一旦花を付けると、その株は必ず枯れる。 しかし、枯れた株の根元には小株がぎっしり生まれていて、健気に命を繋いでゆく。
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