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2007年11月30日 (金)

センブリ(豊かな土地が大嫌い)

Photo_2 世界文化遺産の高野町石道を歩いていて、センブリの大きな群落に出会った。

リンドウの仲間なので、花弁の外側は薄紫色、内側は白色に紫色の縦縞があって美しい。古くから、「当薬」と呼ばれて、苦い薬の代表にされ、薬湯として千回振り出してもまだ苦いのでこの名がつき、不機嫌な顔を「センブリを飲んだような顔」と言われているが、その生態も一風変わっていて、豊かな土地が大嫌いである。 山の崖崩れの跡や補修された山の肩道など、陽が当たり貧栄養の土地を好んで群落をつくるこSennburi とが多いが、何年か経って、「この辺りにセンブリが生えていたな」と思って探しても、草が繁り富栄養化した土地を見限ったか、センブリは見事に姿を消して1本も見当たらない。

日本の生薬は、中国伝来のものが主流を占めるが、センブリは珍しくわが国が独自に開発し伝承してきた民間薬で、ドクダミ(十薬)・ゲンノショウコと並んで世界に誇る三大生薬と呼ばれて重用されてきたが、その効用は消化不良・食欲不振・胃痛・腹痛・下痢に及ぶが、最近はセンブリ酒に発毛効果が発見されて注目を浴びているらしい。

「採取して飲んで見ようか」と言ったら「もう、手遅れよ」と笑われた。

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2007年11月28日 (水)

イシミカワ(別名をカエルノツラカキと言う)

Photo イシミカワは都会の周辺でも普通に見られるつる性の草で、花時までは目立たないが、実が熟す頃になると急に人目を惹く変わった植物である。

実は円盤状の托葉に乗るような形で、未熟な間は白っぽい緑色で、桃色から赤紫色に変わり、完熟すると鮮やかな藍色になる。

成長の早い1年草で、梅雨の頃に芽をだすと、あれよあれよと言う間に数メートルに伸び、垣根や他の草木に絡み付く。茎(つる)は針金のように細いが、驚くほど強靭で、しかも逆向きの鋭い棘で全身を守り、容易に人や動物を寄せ付けない。                                Photo_2

戦後、北アメリカに帰化し、勢力を拡大しているらしいが、その成長力に驚いて、Mile aminuye weed(1分で1マイル草)、棘が牧牛などを傷付けるので Devils tail tearthumb(悪魔の尻尾)と言う名で呼ぶらしい。

そう言えば、我が国でも「カエルノツラカキ」と言う異名があるらしい。 「蛙の面に小便」と言われる程に厚い面の皮を持つ蛙の面を引っ掻いて傷を負わせるほど鋭い棘を持つことに因るらしいが、洋の東西で、平凡な草がユニークな名前を持っているところが面白い。

ちなみに、イシミカワと言う名前の由来には、「石膠」説、「石見皮」説などいろいろあるらしいが、弘法大師が河内の石見川(石実川)村の住民に、この草が打撲傷や泌尿器系の病に効くということを教えたという伝承に因むという説が尤もらしい。

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