センブリ(豊かな土地が大嫌い)
世界文化遺産の高野町石道を歩いていて、センブリの大きな群落に出会った。
リンドウの仲間なので、花弁の外側は薄紫色、内側は白色に紫色の縦縞があって美しい。古くから、「当薬」と呼ばれて、苦い薬の代表にされ、薬湯として千回振り出してもまだ苦いのでこの名がつき、不機嫌な顔を「センブリを飲んだような顔」と言われているが、その生態も一風変わっていて、豊かな土地が大嫌いである。 山の崖崩れの跡や補修された山の肩道など、陽が当たり貧栄養の土地を好んで群落をつくるこ とが多いが、何年か経って、「この辺りにセンブリが生えていたな」と思って探しても、草が繁り富栄養化した土地を見限ったか、センブリは見事に姿を消して1本も見当たらない。
日本の生薬は、中国伝来のものが主流を占めるが、センブリは珍しくわが国が独自に開発し伝承してきた民間薬で、ドクダミ(十薬)・ゲンノショウコと並んで世界に誇る三大生薬と呼ばれて重用されてきたが、その効用は消化不良・食欲不振・胃痛・腹痛・下痢に及ぶが、最近はセンブリ酒に発毛効果が発見されて注目を浴びているらしい。
「採取して飲んで見ようか」と言ったら「もう、手遅れよ」と笑われた。
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