トレニア(バイオ技術の先端を往く花)
猛暑の大阪で、元気に夏越しして咲き続ける花が少ない中、ナツスミレの異名を持つトレニアは貴重な存在で、紫色の小花(写真下)が好きな家内が、30年来、植え続けて楽しんできた。
そのトレニアが、バイオ技術のトップランナーとして脚光を浴びてきたので驚いた。
トレニアの雌しべの胚嚢が、顕花植物では唯一外部に露出していることに注目した東大の東山哲也氏とそのグループが、世界で始めて、生きた花で受粉が行われる全プロセスを顕微鏡写真で撮影することに成功したばかりでなく、受粉のメカニズムの解明とそれを促進するホルモンの存在を発見した。
また、強健で、栽培し易く、遺伝操作の容易なトレニアの特性を利用して、或る研究所は、この花に重イオンビーム(炭素・窒素・イオン)を加速して放射し、基本の1種から1年間に100の新品種を生み出したと言うし、別の研究所では、ペチュニア・カボチャ・キンギョソウなどの遺伝子をトレニアに導入することによって、花色や花の形・草丈などの異なる多彩な園芸品種を作出している。
注目すべきは、活性酸素を消去する遺伝子を遺伝子交換して、生活環境のストレスに耐性のあるトレニアが生み出されたことで、この技術が拡大されれば、砂漠や荒廃地の緑化などにも威力を発揮するかも知れない、などなど・・・。
密かに可愛がっていた田舎娘のトレニアが、才能を見出されて、あれよ、あれよと言う間もなく、世界のプリマドンナとして脚光を浴びたような気がして戸惑っている。
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