ガマ(童謡の誤りを正す)
そこに因幡の白兎 皮を剥かれて丸裸
大黒様は哀れがり 綺麗な水で身を洗い
ガマの穂綿に包まれと よくよく教えてやりました
かねがね、薄汚いガマの穂綿を見るにつけ、こんなものに包まって、果たして白兎の傷は癒えたのだろうかと疑問に思っていたが、やはり童謡の方が間違っているらしい。
梅雨に入る頃に、ガマは花を咲かせるが、ロケット花火のような花穂は2段構造になっていて、下段のフランクフルターのような形をしたのが雌花で、上段が雄花である。 花は進化の結果、風媒花としては究極の姿をしていて、雄花はおしべだけ、雌花はめしべ以外花としての付属物は一切ない。そして雄花からは驚くほど大量の花粉が空中に散布される。
古代人は花粉(漢方では「蒲黄」と言う)に抜群の止血効果があること知っていて、外傷の治療に重用していたので、それが大国主伝説と結びついて童謡に読み込まれたらしい。「ガマの花粉に包まれて・・・」では歌にならないので、「ガマの穂綿に包まれて・・・」と読み替えたものだろうか。
なお、穂綿は庶民の布団綿の代用になったり、火打石の火口になったりするが、薬効はないという。
蛇足ながら、啖呵売の香具師の口上で名高い「ガマの油」は、本来は、ガマの花粉を油で練ったものだが、薬効をより誇大に宣伝するため、語呂合わせでガマを蝦蟇と読み替え、「筑波山麓に棲む四六の蝦蟇が分泌する脂汗を煮詰めた・・・」などと、怪奇趣味を盛り込んだオドロオドロしい口上に仕立てて、面白おかしく囃し立てたものらしい。
こういう舞台裏は、暴露しない方がよいのかも知れないが・・・
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