ハナハマセンブリ(都会の空き地の新参者)
ハナハマセンブリは、地中海沿岸原産のセンブリの仲間で、日本で発見されたのは1,988年と言うから帰化植物では新顔である。神奈川県で見付かったので、浜のセンブリという意味合いを込めて名付けられたと聞く。
花が派手なことから好事家の注目をあび、各地で見付かる度に騒がれていたが、いつの間にか関東以西の太平洋沿岸地帯から沖縄まで分布を広げているらしい。
かねてから、「珍しい植物に会いたければ、造成地か都会の空き地を歩くに限る」と言い続けているが、これらの土地は絶えず掘り返され、都度既存の植物が一掃されるので、新規参入を目指す外来植物にとっては、またとない新天地である。 ハナハマセンブリを淀川の河川時期で見掛けたのは、1990年代の後半だったが、2004年に茨木市の大正川の堤で発見したから暫く見ることがなかったのに、今年、少し離れた神社裏の空き地に群落をなして咲いているのを見付けた。
学名をCentaurium tenuiflourum、属名のCentauriumはケンタウロスで、ギリシャ神話のケンタウロス族のケイロンがヘラクレスの矢で傷ついたときに、直すのにこの草の葉を用いたことに由来すると言うから、わが国のセンブリと同様に、古くから薬効が認められていたらしい。 品種名のtenuiflourumは繊細な花を意味するが、その名の通り、遥か地中海沿岸から渡来し、都会の荒れ地でなよなよした美しい花を咲かせるハナハマセンブリにエールを送ってやりたい。
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