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2007年7月31日 (火)

センナリホオズキ(浅草寺のホオズキ市を懐かしむ)

Sennnarihoozuki 7月9~10日に浅草の観音様に参拝すれば、4万6千日の功徳があると言われ、同時に立つホオズキ市も大人気で大勢の参拝客でごった返す。

噂を聞いて参拝し、境内の市を覗いて、真っ赤に色付いた切花や鉢仕立てのホオズキがずらりと並ぶ光景に圧倒される思いがしたが、それに混じって、緑の小さい実を枝一杯に鈴生りにつけた盆栽風のホオズキを見つけたので、不思議に思い尋ねたところ「千成ホオズキだよ。縁起がいいから買ってお帰り…」と奨められたことが記憶に残っている。   Sennnarihoozuki_2

以前、7人の仲間を語らって兵庫と岡山の県境に終末を過ごすための「晴耕雨読」の拠点を設営した際に、センナリホオズキが熱帯アメリカからの帰化植物で、抜いても、抜いても執拗に生えてくる畑の雑草だと知らされたが、昨日JR千里丘駅地近くの空き地で。30個ほどのホオズキをつけた株に出会った。 径2cmの小さい袋の10本の紫色の筋が小粋である。

長い間、センナリホオズキ(別名ヒロハフウリンホオズキ)と思ってきたが、

センナリホオズキ 学名: Physalis puescens L

ヒロハフウリンホオズキ 学名: Physalis angulata L

両者は別種で、ここに掲げたものは、①花の基部が黒紫色に染まらない②果実に10本の縦の筋が目立つ点でヒロハフウリンホオズキではないかと思われる。

そういえば、懐かしく思い出した浅草ホオズキ市のセンナリオオズキの果実は、緑一色で紫の筋はなかったように思う。

(注)浅草寺のホオズキ市は、薬効のあるセンナリホオズキを売る市として始まったが、のちに普通のホオズキがこれに変わったと聞いたが、確認できていない。

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2007年7月26日 (木)

ハナハマセンブリ(都会の空き地の新参者)

Hanahamasennburi ハナハマセンブリは、地中海沿岸原産のセンブリの仲間で、日本で発見されたのは1,988年と言うから帰化植物では新顔である。神奈川県で見付かったので、浜のセンブリという意味合いを込めて名付けられたと聞く。

花が派手なことから好事家の注目をあび、各地で見付かる度に騒がれていたが、いつの間にか関東以西の太平洋沿岸地帯から沖縄まで分布を広げているらしい。

かねてから、「珍しい植物に会いたければ、造成地か都会の空き地を歩くに限る」と言い続けているが、これらの土地は絶えず掘り返され、都度既存の植物が一掃されるので、新規参入を目指す外来植物にとっては、またとない新天地である。 ハナハマセンブリを淀川の河川時期で見掛けたのは、1990年代の後半だったが、2004年に茨木市の大正川の堤で発見したから暫く見ることがなかったのに、今年、少し離れた神社裏の空き地に群落をなして咲いているのを見付けた。

学名をCentaurium tenuiflourum、属名のCentauriumはケンタウロスで、ギリシャ神話のケンタウロス族のケイロンがヘラクレスの矢で傷ついたときに、直すのにこの草の葉を用いたことに由来すると言うから、わが国のセンブリと同様に、古くから薬効が認められていたらしい。 品種名のtenuiflourumは繊細な花を意味するが、その名の通り、遥か地中海沿岸から渡来し、都会の荒れ地でなよなよした美しい花を咲かせるハナハマセンブリにエールを送ってやりたい。

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2007年7月24日 (火)

クサギ(幸運と不運を併せ持つ木)

Kusagi クサギの花が咲き始めて、辺り一面に芳香が漂っている。

この木の属名をCleodendumと言うが、Cleros=運命、dendoron=木で、「運命の木」と言う意味がある。セイロン(スリランカ)では、幸運をもたらす木として大事にされる一方で、不幸を招くとして怖れられているので、両者を併せて「運命の木」と言う、哲学的な名前が付けられたと言う説がある。歴史的にインドの属国として多難であったセイロンの人々は、幸運と不運は紙一重であることを身をもって知り、世の定めをこの木に見たのだろうか。                  Kusagi_1

小さい頃、昆虫少年だった私にとっては、クサギは幸運の木であって、花が咲けば、クロアゲハ・カラスアゲハ・ジャコウアゲハ・オナガアゲハなど平素は空高く飛んでいて、なかなか捕らえることの出来ない大形のアゲハチョウがやってきて、夢中になって蜜を吸うので、面白いほど簡単に捕ることができた。

この木は、花も愛らしいが、秋に熟す実がユニークで、赤い星形の萼の真ん中に鎮座する青い実が鮮やかで美しく、欧米では庭木として観賞すると言うのに、わが国では異臭があるといって忌み嫌う。

国際的にも好悪相半ばするところが面白い。

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2007年7月23日 (月)

アイ(藍より出て藍より青いアイ)

Ai 藍色の染料として有名なアイは、中国6世紀の「斎民要術」に記載され、わが国でも奈良時代(9世紀)以降、青色系の染料として珍重されてきた。

朝日新聞社刊「花おりおり」③に「よくも染料になることを見いだしたもの。知らないと、ありふれたタデのひとつに過ぎない」とある通り、花は秋に咲くイヌタデ(アカマンマ)に似ている。

葉をそのまま利用する手法を「生葉染め」と言うが、古代の誰かが、藍玉にして発酵させると鮮やかに発色することを発見し、それが1,500年間伝承され、今に伝わったというから凄い。

わが国での青色の呼称は、色の浅いものから、浅葱色(あさぎ)ー縹色(はなだ)ー藍色(あい)-青色(あお)と変わるが、草木染にしろ、化学染料にしろ、その微妙な色合いを出すのは並大抵ではあかろう。化学染料(インデイゴ)の染め上がりは鮮やかだが、褪色は免れないが、アイで染めた青色、酸化作用によって発色が増すので、洗濯をすればするほどますます青色が濃くなると言い、その藍染の伝統は今も好事家によって受け継がれていると聞く。

「青は、藍より取りて、藍よりも青し」は「出藍の誉」とも言い、染料の藍から生まれた千古不滅の格言である。

7月13日、六甲の布引ハーブ園を訪ねたが、アイは花の盛りを迎えていた。

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ギンバイカ(シューマン作曲「ミルテの花」)

Ginnbaika ギンバイカは自宅から最寄り駅に通う民家の庭に植えられていて、毎年梅雨の季節にウメに似た純白の清楚な花を枝一杯に咲かせるのを20年以上にわたって観賞させていただいていたのに、迂闊にもこの花が「ミルテの花」であることを知らなかった。

最近、何気なく除いたファッション雑誌の花嫁の胸に飾られたコサージュが「マートルの花」とあり、ギンバイカに似ていることに気付いて、インターネットで検索してみると、果たせるかなマートル(英名Myrtle)は地中海沿岸から南ヨーロッパ原産のフトモモ科ギンバイカ属の花木で、ドイツ読みで「ミルテ」と言うとあり、ギンバイカ=マートル=ミルテの図式を知ったという次第である。

「ミルテの花」ならば、親しい。 

ドイツの作曲家ロベルト・シューマンは長年の恋を祈らせて師匠の愛娘クララと結婚した際に、その喜びをハイネの詩に託して作曲して献げたのが、組曲「ミルテの花」で、曲は「献呈」「くるみの木」「蓮の花」「この孤独な涙は」「君は花のようだ」の5曲からなり、日本の生んだ名ソプラノ歌手佐藤しのぶさんのリサイタルで聞いてからすっかり惚れ込み、以来CDで繰り返し聞いてきた。

マートル(ミルテ)はギリシャ時代から美の女神ビーナスと愛を象徴する花とされ、「祝いの木」とも呼ばれて、6月の結婚式に不可欠の花とされるほか、香気のある葉を肉料理の風味付けに、花は生の侭サラダに、月桂樹と共に薬用(消炎・鎮静・抗菌)としても重用されて来たと言うが、こんな楽しい出合いや新しい発見があるから、花ウオッチングはやめられない。

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2007年7月20日 (金)

ガマ(童謡の誤りを正す)

Gama 大きな袋を肩に掛け 大黒様が来掛ると

そこに因幡の白兎 皮を剥かれて丸裸

大黒様は哀れがり 綺麗な水で身を洗い

ガマの穂綿に包まれと よくよく教えてやりました

かねがね、薄汚いガマの穂綿を見るにつけ、こんなものに包まって、果たして白兎の傷は癒えたのだろうかと疑問に思っていたが、やはり童謡の方が間違っているらしい。

梅雨に入る頃に、ガマは花を咲かせるが、ロケット花火のような花穂は2段構造になっていて、下段のフランクフルターのような形をしたのが雌花で、上段が雄花である。 花は進化の結果、風媒花としては究極の姿をしていて、雄花はおしべだけ、雌花はめしべ以外花としての付属物は一切ない。そして雄花からは驚くほど大量の花粉が空中に散布される。                         Gama_1

古代人は花粉(漢方では「蒲黄」と言う)に抜群の止血効果があること知っていて、外傷の治療に重用していたので、それが大国主伝説と結びついて童謡に読み込まれたらしい。「ガマの花粉に包まれて・・・」では歌にならないので、「ガマの穂綿に包まれて・・・」と読み替えたものだろうか。

なお、穂綿は庶民の布団綿の代用になったり、火打石の火口になったりするが、薬効はないという。

蛇足ながら、啖呵売の香具師の口上で名高い「ガマの油」は、本来は、ガマの花粉を油で練ったものだが、薬効をより誇大に宣伝するため、語呂合わせでガマを蝦蟇と読み替え、「筑波山麓に棲む四六の蝦蟇が分泌する脂汗を煮詰めた・・・」などと、怪奇趣味を盛り込んだオドロオドロしい口上に仕立てて、面白おかしく囃し立てたものらしい。

こういう舞台裏は、暴露しない方がよいのかも知れないが・・・

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