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2007年6月18日 (月)

ハブランサス(南米版・雨に咲く花)

Habuannsasu 梅雨と言えば、アジサイを連想するが、南米にはこんな美しい花があり「レイン・リリー=雨に咲く花」と呼ばれている。

原産地はブラジルからアルゼンチンの辺りで、現地では乾燥した大地に雨が降ると、地面からニョキニョキと花茎が伸び出して、あっと言う間に、こんな素晴らしい花を咲かせるので、この名があると言う。

雨の多い日本では、常に地面が湿っているので、この様な現象は見られないが、雨の季節を待ちかねたように花を咲かせる。花の命は短くて2~3日で凋むが、次から次へと蕾が顔を出し、1ヶ月近く咲き続く。                    Haburannsasu  

わが国には、男女の別れを歌った情緒纏綿たる「雨に咲く花」があったが、南米版「雨に咲く花」は、サンバに似て、情緒的ではあるが、派手で、可憐で、なによりも湿っぽくないのが良い。 これが野草と聞いて驚くが、造化の神様の一つと言っても褒め過ぎにはならないだろう。

同類のゼフィランサス(サフランモドキと言う野暮な名前を持つ)はよく見掛けるが、そちらの方は、住宅の跡地などで半野生化しているのを見る程度で、出会うことは少ない。

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2007年6月12日 (火)

ハナイカダ(葉っぱの筏に乗った花)

Hanaikada_1  失礼を省みず言わせていただくと、一緒に歩く仲間で、かなり花のお好きな方も、なかなか花の名前を覚えてくださらない。 その場で納得して復唱もなさるのだが、3分ほど歩くと「さっきの花はなんと言ったっけ」と言うことになるが、この木だけは例外で、「葉っぱの筏に花が乗っているからハナイカダ」と説明すると、いっぺんで覚えてくださる。

日本広しと言えども、葉の真ん中に花をつけて、実を結ぶのはこの木だけだろう。世界でも少なかろうと思い、文献を探したら、ヒマラヤ山麓に赤い実をつけるヒマラヤハナイカダがあると知った。(さすが世界は広い)                 Hanaikada_2

最近出版された「植物の軸と情報」特定領域研究班編『植物の生存戦略』によれば、開花のプロセスも略解明されたが、開花時期は葉のセンサーが感知し、その情報が幹(茎)を通って、開花予定箇所に達し、そこで開花ホルモンが作られて花芽が形成されるらしいが、ハナイカダは情報伝達に欠陥があるのか、すぼらで投げ遣りなのか、葉脈の真ん中で情報が停滞し、葉の真ん中で花を咲かせて、実をつけるという妙な現象が生じる。

風雅な名前に惹かれるのか、茶花として愛され、茶室の庭に植えられることが多く、東北地方では「ママコナ」「ママッコ」と呼んで和え物・天麩羅とされるほか、塩漬けにして保存すrという。 「ヨメノナミダ」と言う別名もこの木の雰囲気を表しているように思える。

雌雄異株で、上の写真が雄花で数個固まってつき、雌花は普通1個で、2個咲くこともある。

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オオヤマレンゲ(天女の花)

Ooyamarennge始めて大台ケ原山に登ったのは昭和22年だった。その後、京阪神に勤務するようになって、一時期、集中的に大峰山系と周辺の山を歩いたが、入梅前のこの時期には、オオヤマレンゲが美しい花を咲かせて出迎えてくれたものだった。

ところが、最近は鹿の食害で、花が殆んど見られなくなったと聞き、心を痛めている。

山で見る高貴な花と言えば、草本ではヤマシャクヤク、樹木ならばオオヤマレンゲだろうか。 わが国の中部山岳地帯から、四国・九州・屋久島まで、中国では華南の亜高山に分布するこの花の木を、「天女花」と呼ぶと聞き、さすが文字と詩の国だと感心させられた。 花に顔を寄せると、ほのかにスイカに似た香りがするのも好もしOoyamarennge_1 い。

6月初、六甲山頂を周遊して、地獄谷を神戸電鉄大池駅に下る途中で六甲高山植物園に立ち寄り、お目当てのオオヤマレンゲの花の盛りに出会って、清楚な花を心行くまで観賞うことができたが、ちょっと心に掛かったのは、私が山で出会った花は、すべて花芯が黄味を帯びていたのに、植物園の花芯が赤いことである。 解説書でも、基調は黄だが赤いものもあると言う記事と、赤が一般的で黄色の変異があると言う記載があって、判然としない。

日本森林技術協会編「森の花を楽しむ101のヒント」で、植田邦彦氏が「オオヤマレンゲは平地で栽培するのが困難だが、朝鮮半島から中国東北部に生育するオオバオオヤマレンゲが旺盛な大低木(雄しべが濃紅色)で、栽培が容易です(中略)専門家すら長らく誤解していました」と述べておられるのを発見し、最近は、この説に傾いている。

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