キンチョウ(中国名は「棒葉落地生根」と言う)
八重山諸島を歩いて、琉球石灰岩の上に、この奇妙な植物が生えているのを見ると、ぎょっとする。
はじめて出会った瞬間に、フランスの自然派の画家アンリー・ルソーが描く空想の熱帯林の風景が浮かんだが、花を見てその可憐さに再度驚かされた。 名前をキンチョウ(錦蝶)というが、錦にも蝶にも似ていないのに、なぜこの名がついたか疑問が残るが、中国では「棒葉落地生根」と呼ぶと知り、「これなるかな」と感じ入った。中国人は、しばしば素晴らしいネーミングの才を発揮するが、これなどは典型的な事例だろう。
この草の葉は、紫と黒のだんだら模様をして棒状である。 この写真では判然としないが葉の先端に数個の不定芽をつくり、それが地に落ちると根を生じて小苗となる方法で群落をつくる。
この一連の変わった繁殖方法をたった6文字で表現するのだから恐れ入る。
マダカスカル島の原産で、多肉植物の愛好家には早くから知られていたらしいが、どういう訳か沖縄が気に入っ帰化したらしく、民家の屋根や石垣・駐車場のコンクリートの割れ目からマンション・アパートのベランダにまで生えて、ときには屋根や石垣を壊すなどの被害まで出始めているらしいが、最低気温5℃で枯れると言うから、いまのところ本州に進出する心配はなさそうである。
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