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2006年12月29日 (金)

トウゴマ(ダニ・エジプト・下剤・テロ・印肉・航空機)

Photo_3 ダニ・エジプト・下剤・テロ・印肉・航空機と並べて、これが全部トウゴマ(別名ヒマ)に関係があると言われても、戸惑ってしまうが、一つひとつ解明してゆこう。

トウゴマの赤い実の刺がダニに似ていると言うので、属名をRicnus=ダニと言い、紀元前4,000年前からワタとならぶ世界最古の栽培植物としてエジプトの墳墓から出土すると言う。 エジプト・ギリシャ・ローマを経て中国に渡り、日本へ到来したのが9世紀、ひまし油と名付けられたが、世界中で重用されたのは、一にも二にも下剤としての効用である。

下剤効果は、種子に含まれるリニシンに因るが、リニシンは人ひとりの致死量が僅か0・0005mmと言われ世界の5大猛毒に数えられる危険なもので、世界同時多発テロの後、アルカイダがリニシンによる大量殺戮を計画しているという噂が流れて世界中を震撼させたことは記憶に新しい。

トウゴマの種子の油(ひまし油と呼ぶ)の含有量は40~60%といわれ、用途は広く、インド・中国・ブラジルでは灯油となるほか、化学的に安定しているため中国では印肉の製造に欠かせず、低温に強い特性をいかして高高度を飛ぶ飛行機のエンジン部分の潤滑油とされてきた。第2次世界大戦中、海外からの輸入が途絶えたひまし油を確保するため軍部は必死になって栽培を奨励したことを覚えている人は少ないが、その当時はどこでも見られたトウゴマも、今ではエキゾチックな実を鑑賞するため花材となるに過ぎない。

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2006年12月20日 (水)

コウゾリナ(逞しいキク科植物の代表選手)

Kouzorina 初秋の因幡街道をドライブしていて、花の少ないこの時期に、新鮮な花を咲かせているコウゾリナを見付けたので、車を止めてもらって撮影した。

最近知ったことだが、キク科植物は3,500万年前に南アメリカのアンデス山脈のどこかで生まれたらしい。 先ず南北アメリカに広がり、当時陸続きだったベーリング海峡を越えてアジア大陸に足を踏み入れたのが、凡そ1,000万年前で、そこから爆発的な拡がりを示し、進化と種の分化を繰り返して、世界中でキク科植物を見ないところはないと言われるほどの大繁栄を遂げたのである。

アジアのモンゴル族の支流が、ベーリング海を渡って、南北アメリカに定住して、インディアンと呼ばれるようになったのが、1万5千年~2万年前と言われるから、人類の歴史などたかが知れている。

コウゾリナは、植物界の頂点にあると言われるキク科植物の中の代表選手で、特に生息域が広く、都会の空き地から農村の沿道、原野・牧草地など至る所で見掛けるが、近縁の仲間は高山(ミヤマコウゾリナ)や寒冷地(カンチコウゾリナ)まで進出し、花の時期も5月から12月ときわめて長い点を見ても、じつにタフで逞しい植物である。

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タンキリマメ(里山の手品師)

Photo_2 タンキリマメは、人里に近い山麓に生えるつる性の植物である。

茎・葉・花とも地味で、生涯殆ど目立つことのない雑草だが、12月にいると、一生で唯一度の不思議な芸を見せてくれる。

枝豆に似た豆果は、熟すと真っ赤に色付き、乾燥した莢にちょっと触るだけで、パチンと弾けて、なかから黒い二つの豆が飛びだすが、その黒い種子は、小蟹の目に似ている。

たった、これだけのことだが、秋の陽光がさんさんと降り注ぐ山道で演じられる里山の手品師の素朴な芸は、なんとも言えぬ可笑味があって、結構楽しい。

タンキリマメ(痰切り豆)というが、痰を切るなどの薬効はないようだ。

Tannkirimame

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