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2006年10月 5日 (木)

タヌキモ(可愛い顔をして虫を食う)

Tanukimo 京都洛北の深泥池のタヌキモが満開と聞いて、矢も盾もたまらず駆けつけて、池を埋めるよういして咲く黄色い花を満喫した。

タヌキモは食虫植物で、こんなに可愛い花を咲かせながら虫を食う。根はなく、タヌキの尻尾に似た藻のような茎と葉を水中に浮かべて浮遊する。葉の腋には捕虫のための無数の嚢があり、その一つ一つがスポイドのような構造を持っており、入り口に2本の刺状のセンサーがあって、ミジンコなどが触れると、水とともに吸い込んで捕獲する。          

捕らえた虫は嚢中の酵素と同居させている大腸菌などの助けを借りて消化吸収する。Tanukimo_1

このなに立派な花を咲かせるのに、どういうわけか、実は出来ず、冬には葉の先端が丸くなって球状の「越冬芽」を作り、水の底で春を待つ。

深泥池は不思議な池で、14万年前の氷河期に形成され、ここが世界の南限地と言われるホロムイソウや氷河期の忘れ物ミツガシワなどを今に伝えていて、池とそこに生息する生物群集全体が国の天然記念物に指定されている。この池に流れ込む川は1本もなく、周りの山野に降った雨水だけで、長きに亘って強酸性の池と池の3分の1を占める巨大な「浮島」を維持し、大都会の近郊に位置していながら、奇跡的に極寒地の生物に必要な生活環境を保全し続けて来たというから恐れ入る。

トンボや鳥類の多いことでも知られているらしい。

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