ゴンズイ(役立たずの木)
里山に生えているが、さしたる特徴がないために、平素は殆ど目立つことのないのに、実が真っ赤に熟して弾けるこの時期だけ脚光を浴びるのがゴンズイである。
本来、ゴンズイは魚の名前である。
夜釣の好きな人なら、先刻ご承知の通り、外道として忌み嫌われるナマズの子に似たゴンズイ(関西ではギギとも呼ばれる)はヒレに毒針を持っていて、うっかり掴むとひどい目に遭う。 この木が何故こう呼ばれるのか気になって調べると、「材が脆くて何の役にも立たない」ところが、煮ても焼いても食えないゴンズイに似ているからだと言う。(樹皮の斑紋がゴンズイの肌に似ているからと言う説もある )
もっと酷いのが各地の方言で、実を嗅ぐと悪臭がするところから、イヌノクソ(愛媛)・ウマノショーベンギ(高知)・ツミクソノキ(大阪)・ネコノクソまたはネコババノキ(長崎)・・・、など、まさに糞味噌である。
ヘクソカズラが野草の悪名ナンバー1なら、ゴンズイは木の部門のナンバー1と断言して差し支えないようだ。少しくらいくさいから、または人の役に立たないからと言って、別にそれ以上の害があるわけでもない平凡な木に、悪口雑言を浴びせるのは、イジメに似ている。
人は、残酷な動物なのかもしれない。
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