トチノキ(山の民を潤し続けた木)
気温37℃の大阪を離れて、久しぶりに芦生の森の京大演習林を訪ねた。森への入り口の気温は24℃、トロッコ道に入ると、そこはまるで別天地で、深い谷筋を爽やかな風が吹き抜け、由良川源流の水音とミンミンゼミの鳴声が涼感を添えてくれる。
奥へ進むと、クリの若い毬(いが)が落ち、巨大なトチノキやオニグルミの鬱蒼と繁った葉の間からたわわに実った青い実が覗き、実りの秋が近いことを知らせてくれた。
クリ・クルミ・ブナ・ナラ・トチノキなどの広葉樹は縄文時代から、山の民の生活を潤し続けてきたが、なかでもトチノキは切られることなく大事に残されて、谷筋などに巨木となって残っていることが多い。
照葉樹林帯文化論で有名な中尾佐助博士が、後日縄文時代初期から延々と続く広葉樹林帯文化論を提唱されたが、その発想は、この広大な芦生の森を逍遥しつつ得られたのではなかろうか・・・、など勝手な想像を逞しゅうしながら、豊かな森で、晩夏の一日を楽しんだ。
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