アサガオ(童心にかえって花の数を数える)
他愛ないことだが、朝起きて朝刊を取りに行くときに、その日咲いたアサガオの花の数を数えて、家内に報告するのが数年来の習慣になっている。
T種苗から取り寄せた「紅千鳥」と言う紅色に僅かに白の覆輪が入る小輪多花の品種なので、毎朝驚くほど沢山の花をつける。
20~30個ならば、どう言うこともないが、7月上旬のように68個・74個・72個となると大変で、何遍も数え直して、やっと個数を確定することになる。 お盆のころから勢いが衰えたのか、このところ、50 個前後に落ち着いている。
アサガオといえば、日本が世界に誇る「花の芸術作品」で、江戸時代の享和(1803年)~安政(1860年)に2度に亘る大ブームがあって現在の花色・花の形・葉の芸など基本形が殆ど出揃ったが、中でも注目されるのが「獅子咲き」に代表される代わり咲き品種で、雄しべ・雌しべは花弁化して種子ができないのに、毎年種子を播いて同じ花を咲かせたことである。
江戸の達人は、遺伝の法則に近いものを体験的に知っており、特定の品種を交配して、一定の割合で劣性形質の異形を生みだしていたのである。
メンデルの法則が発見されたのが1,900年であることから見ても、江戸の好事家のレベルの高さは世界の園芸界で突出していたことになる。 しかし、大方が個人の秘伝としてオープン化しなかったため、経験則が共有化されることなく、作出された品種は明治維新のどさくさの中で、殆ど失われてしまったと言う。
「槿花」ならぬ「朝顔一朝の夢」と言うべきだろうか。
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