モミジアオイ(幼い日の思い出)
昭和12年頃、H市郊外の生家にモミジアオイが植えられていて、真夏に真っ赤な花を咲かせていた。祖父が「コウショッキだよ」と自慢げに教えてくれたが、それが「紅蜀葵(モミジアオイの別名)で、北アメリカ原産の当時としては超モダンな花だと知ったのは、ずいぶん後のことである。生家を離れて10年後、祖父の納骨の日に、その家を訪ねて、庭の同じ場所に、同じように咲いてのを見たときの驚きと感激を未だに忘れることができない。
モミジアオイはハイビスカス属の多年草(宿根草)で、毎年地上部はかれるが、地下茎が生き残り、春になると芽を出し、草丈が2mに達する7~8月頃に花を咲かせるが、いったい何年くらい生き続けるのだろうか。文献などを漁って見ても、多年草の寿命に触れたものは皆無といって差し支えない。
真夏の太陽を一杯に浴びて咲く、直径15~20cmの豪華な花が、朝に開いて、夕べに凋む1日花というのも、なんとなくアンバランスな感じがする。
お盆にこの花を見て、幼い日のことや、終戦の直前・直後のほとんど同じ時期に、祖父母と父親を失ったことなどが思い出された。
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