ヤマユリ(世界に誇る日本の特産種)
近畿地方でユリと言えばササユリを指すが、関東地方では断然ヤマユリである。
ササユリの可憐な風情を「京女」に例えれば、ヤマユリは「東男」と言うことになるが、背丈は2mに達し、1株の花数は十数個、花の直径20~25cmで、強烈な香りを放つ、その豪放な咲きっぷりは、坂東武者さながら・・・、日本が世界に誇る特産種でもある。
世界のユリ属は96種、うち日本は僅か15種に過ぎないが、観賞価値の高さでは世界随一と言われている。
1861年にイギリスに紹介された時は、それまでマドンナ・リリーなど中輪のユリしか知らなかったヨーロッパの人々を驚嘆させたようで、1873年にウィーン万博に展示されて人気は頂点に達した。
以来、品種改良の母種として珍重され、現在数百種に達する大型のユリ(例えばカサブランカなど)は、ヤマユリがなければ生まれなかったと言う。
わが国では縄文時代以前からの貴重な食材で、叡山百合・吉野百合などの呼称からして、以前は近畿地方にも広く見られたらしいヤマユリは、漸次分布域を狭めてはいるものの、乱獲に耐えて今に生き残り、山野を彩る逞しさは驚異に値すると言っても過言ではないだろう。
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