スズメノテッポウ(草笛で遊んだ幼い日の思い出)
民芸運動の創始者である柳宗悦氏の三男で園芸研究家だった柳宗民氏は、その著者「雑草ノオト」で、スズメノテッポウを「田園一面に緑の棒を立てたように可愛い穂を並べて群生する」と描写されているが、さすがに的確な表現である。 園芸評論家としても幅広い活動をされ、特にNHK「趣味の園芸」のレギュラー講師として人気が高かったが、今年2月に79歳で逝去された。 ご冥福を祈りたい。
イネと共に渡来した史前帰化植物で、稲刈りが終わった水田で芽をだして越年し、3~5月に大急ぎで花穂を出し、苗代に水が張られるまでに実を散布し終わって姿を消すが、種子はイネが生長して刈られるまで地中で休眠し、秋に目を覚ますと言う典型的な水田雑草である。
昭和のシングル世代ならば、春の田んぼでこの草の穂を引き抜いて葉を折り曲げ、草笛として遊んだ思い出があるのではないだろうか。 あのか細い音色が懐かしい。
可憐な橙色の花穂が印象的で、名前はその形に由来するが、ほかにスズメノマクラ・ヤリクサなど微笑ましい異名を持つ。 この写真のようにクローズアップしても、十分鑑賞に堪える花である。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント