エゴノキ(街に個性的な街路樹を・・・)
エゴの花 流れ溜まれば にほいけり 草田男
一見平凡な句だが、私にはエゴノキの生態を的確に表した良い句だと、勝手に思い込んでいるので、この花を見るたびに口をついで出てくる。
里山を歩いていて、林の縁や明るい谷筋が真っ白になっている箇所に出合い、見上げるとエゴノキが枝一杯に無数の小花を下向きに垂らして咲いている。学名(属名)のStyraxはギリシャ語で「安息香」を表すと言うが、そのとおり、この木の周りには仄かで上品な香りが漂う。 純白の花弁と淡い橙黄色の雄しべとに対比が見事で、花に気品がある。
エゴノキと言う無粋な名前の由来は、若い実にサボニンという成分が含まれていて、口に含むとえぐいので、「エグ」は「エゴ」の転訛したと言うが、名前で損をしているのか、花や樹形の美しさが正当に評価されていないように思われる。
かねがね、わが国の公園樹や街路樹の個性のなさにうんざりしている。 行政に見識ある幹部がおらず、1坪いくらで業者に請け負わせるためか、安直で、植樹に手間が掛からず、劣悪な環境に耐久性のある木だけが植栽されて、景観面や情緒面は度外視されている。 例えば、このエゴノキなどはヨーロッパに進出して、Snowbell tree またはJapanese Snowbell と呼ばれて珍重されていると言うのに、日本には纏まった樹林もない。 街に個性的な街路樹を待望しているのだが・・・。
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