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2006年5月21日 (日)

ナニワイバラ(浪速の名がつくオールド・ローズ)

Naniwaibara2 散歩の途中でナニワイバラを見つけた。

大阪は、こと花に関しては、全くの後進国で、品種名に大阪または浪速と名のつくものが、このナニワイバラ以外に見当たらないと言うから寂しい。

その貴重な花を、大阪の女性に譬えるとどうなるだろうか、と思案して見たが、デパートのバーゲン売り場で見掛ける「大阪のおばはん」や道頓堀・千日前を闊歩する「ナニワのねえちゃん」は敬遠させていただくとして、「船場のいとはん」「帝塚山のお嬢さん」では古過ぎて、お手上げである。

それにしても、清楚で、凛とした佇まいが好ましく、顔を寄せれば、ウメかクチナシに似たほのかな香りがあるのも嬉しい。

台湾・中国南部からヒマラヤブータンと北アメリカの東部に隔離分布し、日本では和歌山県・四国・九州で発見されているが、自生種だと言う説と栽培品種が逃げ出して野生化したと言う説があって、未だに結論がでていないらしい。

欧米ではオールド・ローズとして珍重されているらしい。 イギリスの紳士は早めに引退して、庭でガーデニングを楽しむのが老後の理想とされたいるらしいが、バラを育てるほどの庭を持たない身としては、他人の生垣の花を撮影して、「花便り」することで、渇を癒させていただくよりほかはない。

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2006年5月17日 (水)

エゴノキ(街に個性的な街路樹を・・・)

Egonoki 梅雨入り直前のこの時期にエゴノキの花が咲く。

エゴの花 流れ溜まれば にほいけり        草田男

一見平凡な句だが、私にはエゴノキの生態を的確に表した良い句だと、勝手に思い込んでいるので、この花を見るたびに口をついで出てくる。

里山を歩いていて、林の縁や明るい谷筋が真っ白になっている箇所に出合い、見上げるとエゴノキが枝一杯に無数の小花を下向きに垂らして咲いている。学名(属名)のStyraxはギリシャ語で「安息香」を表すと言うが、そのとおり、この木の周りには仄かで上品な香りが漂う。 純白の花弁と淡い橙黄色の雄しべとに対比が見事で、花に気品がある。

エゴノキと言う無粋な名前の由来は、若い実にサボニンという成分が含まれていて、口に含むとえぐいので、「エグ」は「エゴ」の転訛したと言うが、名前で損をしているのか、花や樹形の美しさが正当に評価されていないように思われる。

かねがね、わが国の公園樹や街路樹の個性のなさにうんざりしている。 行政に見識ある幹部がおらず、1坪いくらで業者に請け負わせるためか、安直で、植樹に手間が掛からず、劣悪な環境に耐久性のある木だけが植栽されて、景観面や情緒面は度外視されている。    例えば、このエゴノキなどはヨーロッパに進出して、Snowbell tree またはJapanese Snowbell と呼ばれて珍重されていると言うのに、日本には纏まった樹林もない。 街に個性的な街路樹を待望しているのだが・・・。    

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2006年5月13日 (土)

スズメノテッポウ(草笛で遊んだ幼い日の思い出)

Suzumenotextupou 民芸運動の創始者である柳宗悦氏の三男で園芸研究家だった柳宗民氏は、その著者「雑草ノオト」で、スズメノテッポウを「田園一面に緑の棒を立てたように可愛い穂を並べて群生する」と描写されているが、さすがに的確な表現である。 園芸評論家としても幅広い活動をされ、特にNHK「趣味の園芸」のレギュラー講師として人気が高かったが、今年2月に79歳で逝去された。 ご冥福を祈りたい。

イネと共に渡来した史前帰化植物で、稲刈りが終わった水田で芽をだして越年し、3~5月に大急ぎで花穂を出し、苗代に水が張られるまでに実を散布し終わって姿を消すが、種子はイネが生長して刈られるまで地中で休眠し、秋に目を覚ますと言う典型的な水田雑草である。

昭和のシングル世代ならば、春の田んぼでこの草の穂を引き抜いて葉を折り曲げ、草笛として遊んだ思い出があるのではないだろうか。 あのか細い音色が懐かしい。

可憐な橙色の花穂が印象的で、名前はその形に由来するが、ほかにスズメノマクラ・ヤリクサなど微笑ましい異名を持つ。 この写真のようにクローズアップしても、十分鑑賞に堪える花である。

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クサノオウ(英名はROCK POPPY)

Kusanoou1_3 京都の二条城前の堀川は石垣とコンクリートで固められれしまったが、昔の名残で、思い掛けない野草が残存しており、私の貴重なフィールドの一つになっている。 

4月19日、川底に下りてクサノオウを撮影していると、真上の国際観光ホテルの宿泊客と思しい30歳台の外人がスペイン語だかポルトガル語だか解らない言葉で声を掛けてきた。 「なにしているんだい」と言われたような気がしたので、花とカメラを指差すと、なんと2m近い石垣を飛び降りて傍Kusanoou2_1 に寄ってきた。 「Oh! ROCK POPPY]と叫んだから、野草には詳しいらしい。 ポケット図鑑を繰りつつ川底の雑草を観察したり、デジカメの撮影画面をスライドして見せたり、とんだ国際交流を経験させてもらった。                              

クサノオウ(草の王または草の黄)と言う良い名を持つこの草の母種は、ヨーロッパから北アメリカまで広く分布するので変な外人にも馴染みがあったらしい。 漢方では「白屈菜」と言い、皮膚病に特効があるとされているので「瘡(くさ)の王」と言うのが由来だと聞かされたことがある。

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