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2006年3月16日 (木)

ウバユリ(転勤を嫌がるサラリーマンの様な植物)

ubayuri 淡路島の伊勢の森を歩いてウバユリの実に出合った。山でよく見る植物で、花と実の形が一風変わっているので、活け花の花材にされるが、その生態はもっと変わっている。

暗い樹林の下に生えるため、栄養分を蓄えるのに時間が掛かるのか、発芽してから7~8年間、せっせと地下の球根を太らせ、1回花を咲かせただけで親株は枯死してしまう。 一つの実に約600個の種子が詰まっており、種子には翼があって、風に乗って散布されると言いたいが、写真で見る通り、実は熟しても半分しか開かず、剛毛が種子を抑えていて、余程強い風が吹かないと飛び散らない。

事実、余り遠くへ種子を飛ばす必要もないらしい。 暗い樹下でしか生息できないこの植物の生息域は限られているので、そこからはみ出した種子は生き残ることができないからである。 そんな消極的なことで、子孫の繁栄が図れるのかと思うが、枯れて腐敗する前の球根は、ちゃっかりと分球して沢山の小球根をつくっているので、種子の発芽が悪くても案じることはない。 分球した球根は、種子から生まれた株よりも早く花を咲かせるので効率も良い。

つまるところ、ウバユリは、転勤を嫌がるサラリーマンのように、狭い地域に密着し、同属・親族が、肩を寄せ合って、暗い森の樹下で生き続けているのである。

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