タネツケバナ(田圃のある所タネツケバナあり)
早春の頃、郊外を散歩していると、田圃に淡雪が積もったと思うほど真っ白になっているのを見掛けるが、タネツケバナの群落と見て間違いないだろう。
タネツケバナは、イネと同時に大陸から帰化した史前帰化植物で、「田圃のある所タネツケバナあり」と言われるほど稲作と不可分の関係にあり、弥生時代以降、稲作の普及とともに全国へ拡がったらしい。 名前からして「種漬花」で苗代の準備のため、籾を水に漬ける頃に咲くので、この名が付いたと言う。 春一 番に花を咲かせて、種子を田に撒き散らし、田圃に耕運機が入る頃には姿を消してしまうが、種子はイネが育つ夏の間、水中で十分の睡眠をとり、稲が刈り取られるといち早く目を覚まして、ロゼットの状態で冬を迎え、正月を越えると急激に成長して2月には次世代の花を咲かせて実を結ぶ。
草丈は僅か10~20cm、花も小さいがクローズアップして見ると純白の十字花が可愛いい。
同類には乾いた場所に生えるタチタネツケバナ、水辺に生えるミズタネツケバナ、帰化植物のコタネツケバナ(ミチタネツケバナ)などがある。
タネツケバナの由来については、面白い異説がある。 果実は長さ2cm、太さ1mmの線形で、熟すと二つに裂け、くるくるっと巻いて勢いよく種子を弾き飛ばすが、その勢いを「種付け馬」に見立て、それが訛ってタネツケバナなったと言うが、眉に唾をつけて聞く方がよさそうだ。
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