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2006年2月 5日 (日)

ノボロギク(目立たないけどタフな奴)

noborogiku 節分の寒風の中で、ノボロギクが花を咲かせ、実の散布を始めていた。 ノボロギク(野襤褸菊)と言う冴えない名前を持ち、一向に目立つことのないこの植物が、詳しく観察してみると、実にタフで強かな奴だと知って驚かされる。

秋の終わり頃に、発芽した株は、本葉が4~5枚になるといち早く蕾をつけ、冬の間に、花を咲かせながら成長を続け、正月前後には立派な固体となって、早々に種子の散布を開始する。 虫媒花なのにどうして受粉するのだろうかと言う心配はご無用、昆虫の少ないこの時期には、自家受粉で手軽に種子を作ってしまう方便を身につけている。 肥沃な土地を好んで、果樹園の樹下などに大群落をつくるかと思うと、痩せ地も苦にせず、道端のコンクリートの割れ目、踏み付けが厳しい校庭の隅や民家の庭にも侵入する。抜かれても踏まれても、次から次から芽を出して、直ぐに花を咲かせ、1株が約1,000個の種子を作って撒き散らすというサイクルを、1年中繰り返す辛抱強さと執念深さが、この一見ひ弱わそうに見えるヨーロッパ原産の植物を、寒帯から熱帯まで至る所に進出させた原動力に違いない。               noborogiku

我が国には、明治の初めに渡来して、大正年間には全国に広がり、年がら年中花をつけるところから、農民の間では、「ネンガラソウ」と呼ばれていたと言うから、学者や先生方が名付けたと思われる「ノボロギク」という硬直したネーミングよりも、身近にこの草を観察した庶民の目の確かさと巧まざるユーモアの方が、数段上回っているように思える。

ドイツではカナリアが好んで食べるので「鳥草」と呼んでいるらしい。

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