ビワ(ロマンを秘めたビワの来歴)
年が暮れる頃に、ビワがひっそりと花を咲かせる。 駱駝色の綿毛に包まれて、やや下向きに咲く花には芳香があり、かろうじて生き残ったニホンミツバチに花粉を媒介して貰うのだろうか、その佇まいは、あくまでもひそやかで、慎ましやかで、私の大好きな花の一つである。
12月28日、恒例の登り納めのポンポン山の、川久保尾根を下り切った辺りで野生種とも思える1本のビワ(写真下)を見付けた。ビワには日本在来説と中国からの渡来説があって未だに結論は出ていないらしいが、保育社刊「野山の木」の著者堀田満氏が「高槻の野生モモの自生地近くにビワの自生地がある」と述べておられるのを聞いていたので、さてこそ…と心が躍った。
諸説を勘案するに、ビワの故郷は揚子江の上流に当たる四川省大渡河周辺らしく、この地には他のビワ属の植物も多く見られると言う。 ビワは少しずつ進化を遂げながら流れに沿って揚子江を下り、更に対馬海流に乗って日本に流れ付いたのではないかと言う説に妥当性を感じる。その証拠に、山口県祝島・福井県冠島などの日本海側に自生地が多く見られると言う。
私が撮影したのが、若しも自生種だとしたら、どこをどう言う風に辿って、この地に移り棲んだものだろうか。
ロマンを秘めたビワの来歴である。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント