サフラン(実力あるものは、さりげなく見える)
サフランは、花色も地味で、夏場の高温多湿に適応できないこともあって、我が国ではクロッカスほど著名でなく、愛好する人も少ないが、この花の歴史とハーブとしての実力を知れば驚嘆するに違いない。
有用植物として知られるようになったのは、有史以前として置こう。
旧約聖書に「芳香を放つハーブ」と記載され、インドでは仏陀の死後間もない頃に。僧衣を染めるのにサフランが使用されたと伝えられているらしい。
先ず、原産地のカシミール・イラン・インド北部で栽培されて、ヨーロッパ各地や中国へ広まった。 ギリシャ・ローマ時代は香水として愛用されたほか、薬用・染料として珍重され、食用としては、スペインのパエリア、フランスのブイヤベース、イギリスのケーキ、中国料理の香り付けなど伝統料理の食材として定着していることは周知の通りである。なにしろ、煮出したものを10万倍に希釈しても、なお黄色味が消えないというから、とんでもない植物があったものだ。
商品としての「サフラン」は、花の雌蘂の先端の真っ赤な花柱を乾燥したもので、1gを得るのに花の数3,000~5,000個を必要とし、採取するには手作業以外に方法がないと言うから、同重量の宝石と同じ価値があるとされてきた。 最近では、アロマテラピーや美容のためのハーブ・ティーがブームになっているらしい。
「真に実力のある者は、さりげなく見える」と言う人間界の諺は、花の世界でも通用するらし。
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