ヒナタイノコズチ(幼い日の思い出)
大阪近郊の交野山の大岩の割れ目に生えたヒナタイノコズチの生態に惹かれて撮影した。イノコズチにはヒナタイノコズチとヒカゲイノコズチ(イノコズチ)があり、大まかに前者は日向に生え、後者は裏庭や竹やぶなど日陰に生える。
幼い頃、原っぱで遊んだ経験のある方ならば、イノコズチを引っこ抜いて、瘤のように膨れた茎の節で、「叩きあいっこ」してふざけたことを思い出されるのではないだろうか。
和名は「猪の子槌」で、この節高の茎をイノシシの膝頭に見立てたと言う。
実が熟すといわゆる「ヒッツキ虫、関東ではクッツキ虫」になる。 日が暮れるまで遊び呆けて家に帰ると、セーターにもズボンにも、この実が一杯ついていて、戸外で全部払い落とさないと入れてもらえないので、空腹を抱え、ベソをかきつつ、一つ一つ丁寧に取ったことが思いだされる。 夕食の芳しい匂いまでが甦ってくるようだ。
ヒナタイノコズチを陰干ししたものを「牛膝=ゴシツ」と言い、漢方では利尿・強精剤、民間では密かに堕胎薬にしたと言う。 最近、この植物から昆虫が変態するときに必要なホルモンが発見されて注目を浴びていると聞いた。 よく似ていても、ヒカゲイノコズチには薬効がないらしい。
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