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2005年6月16日 (木)

ヤマアジサイ(ヤマアジサイも七変化)

yamaajisai 江戸時代は、上は将軍・大名から下は裏長屋の住民に至るまで、園芸に熱中し、手当たり次第に在来植物の品種改良や変わり咲きの作出に取り組み、世界中が目を見張るような成果を挙げたのに、日本特産のアジサイの改良には冷淡だったらしい。 その原因は、

  1. どこにでも生えている、見慣れすぎた植物だった
  2. 墓地や庭の裏手に植える陰気な植物とみなされていた
  3. 花弁(萼)が散らないので嫌われた
  4. 挿し木でいくらでも増えるので、園芸職人が力を入れなかったyamaajisai

ことにあったようだが、これに反し、1787年に稀代の名プラント・ハンターといわれたバンクスがヨーロッパに持ち込んで以来、アジサイの品種改良は欧米が主導権を取り続け、戦後改良された鮮やかな新種の花が続々と輸入されるに及んで、遅ればせながら日本でもブームの火が付いた。

ミセスクミコと言う日本最初の登録品種(1992年のフロリヤード最高賞受賞)を作出した群馬県の坂本氏が有名だが、ユニークなのは京都の桂高校で、片山一平先生に指導された「草木クラブ」がクラブ活動でアジサイの品種改良を手掛けて、次々に新しい品種を生み出して、園芸業者を通じて販売ルートに乗せ、全国に頒布しているが、品種の命名も奇抜で、「ちちんぷいぷい桂の地球=ほし」「桂のろくめいかん=鹿鳴館」「桂夢衣=かむい」など噴出さずにいられない。

6月に里山を歩くと、ヤマアジサイ・ガクアジサイ・コアジサイ・コガクウツギ・ノリウツギなどアジサイ属の花が次々に花を咲かせて楽しませてくれる。

個人的には煌びやかな園芸品種よりも原種の方が余程好ましいと思っているが、6月14日にアジサイの名所矢田寺を訪い、「七変化」の異名の通り、多様な花を咲かせたヤマアジサイの改良品種が、野性味を残しながらも近代味を感じさせるのに心を惹かれ、「これもまた良し」と頷かされた。

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