ムラサキカタバミ(花の世界にも市場原理が・・・)
花の世界にも市場原理が働いていて、希少なものは必要以上に高値がついたり、追い掛け回されたりするが、ポピュラー化すると見向きもされなくなる。
南アメリカ原産のこの花が、幕末(文久2年=1,862年の記録がある)に輸入された時、好事家は鮮やかな濃緑色の葉の間から、次々に紅紫色の花を咲かせるのを見て狂喜したに違いない。寒さにはやや弱いものの、鉢植えによく、路地に植えっぱなしにして世話をしなくても、毎年美しい花を見せてくれるので「キキョウカタバミ」などの愛称を付けて珍重した。
このような花はほかにも多い。例えばホトケノザやヒメオドリコソウ・オオイヌノフグリなどは、一つ一つの花は美しいのに、余りにも多いので誰も目に留めない。
ところが、一見して弱々しいムラサキカタバミが驚異的な繁殖力を示して、あっという間に西日本一帯に広がってしまったのである。 種で増えないこの草の秘密は地下の鱗片にある。株を引き抜くと数百個の鱗片が地中の残り、土地を耕すと周辺に飛び散って、それぞれが芽を出すと言う栄養繁殖を繰り返すので 、和歌山県のミカン畑などでは、畑の肥料を横取りする「除去し難い強害雑草」として忌み嫌われているらしい。
6月14日にアジサイの矢田寺を訪い、樹下に咲くムラサキカタバミが余りにも美しく思えたので、アジサイをそっち除けにして撮影した。
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