ハンゲショウ(半夏生か半化粧か)
半夏生が近づくとハンゲショウの花の周りの葉が白くなる。 ドクダミ科ハンゲショウ属のハンゲショウは不思議な植物で、ドクダミと同様に原始的な花は花弁を持たず、花序に向かい合う葉の一部が花弁の代わりに白く変色するが、それもカタシログサの異名の通り中途半端で、化けそこなった狸の半化粧と言った一種独特のとぼけた味がある。
その名前の由来を調べると「半夏生の頃に花が咲くからハンゲショウと言う」、「ハンゲショウの花が咲く季節を半夏生と言う」の二つの説があって、「卵が先か鶏が先か」の論争に似ていて捕らえどころがないが、半夏生と半化粧を掛けた古人のネーミングには頭が下がる。
いずれにしても、半夏生は八十八夜・入梅・二百十日などの七十二雑節の一つで、夏至から11日目に当たり、「この日をもって梅雨が終わる」「天地に毒気が満ちて毒草の半夏(サトイモ科のカラスビシャク)が生える」「農家では田植えが終わって田(サ)の神を送る日」「関西では食養生のため蛸を、福井では丸焼きの鯖を食べる日」など民間伝承を列挙してみると、梅雨も終わりに近く、真夏の猛暑を迎える区切りの日というニューアンスを含んでいるようだ。
その1年で一番うんざりさせられる季節に咲くハンゲショウは、田植えを終わったばかりの田の面を吹き渡る一陣の風のような爽やかさを感じさせてくれる花である。北米原産のアメリカハンゲショウは花穂が大きいが、葉は白くならない。
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