ヤマボウシ(可愛らしい山の荒法師)
銀行員時代に京都の洛北地区の外周りを担当してスクーターで走り回っていた頃、大原寂光院庵主の小松智光尼に親しくしていただき、訪問する度にお茶のおもてなしを受けていたが、5月半ばの或る日、床に白い花が品良く活けてあったので名をお伺いすると、「お花の中心を僧の頭に、4枚の弁を法衣にみたててヤマボウシと言いますが、叡山の荒法師には似つかわしくない可愛い花ですね」と答えていただいたき、それ以来この花のファンになった事が懐かしく思い出される。あれから50年の月日が経ち、その後に消失した本堂は再建されたが、テレビで拝見する限り智光尼もお年を召された。
最近北米原産のハナミズキが幅を利かせて公園・街路樹から一般家庭の庭木に至るまで「猫も杓子もハナミズキ」だが、どうして一見派手なハナミズキよりも、清楚で雅趣に富むヤマボウシが疎遠にされるのか、いささか心外である。もしも、白一色でもの足りないと言うなら、最近出回ってきたベニバナヤマボウシをお勧めしたい。
ところで、ヤマボウシの実が食べられることをご存知だろうか。イチゴに似た真っ赤な集合果には、ほんのりとした香りもあるので、山の仲間は、「山のイチゴ」などと称して密かに楽しんでいるのだが・・・。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント