ウノハナ(卯の花をかざしに関の晴れ着かな)
古人はウノハナをこよなく愛して、旧暦の4月を卯月と言い習わし、この月の曇天を「卯の花曇り(卯月曇り)、梅雨の走りの雨を「卯の花腐し(くたし)」と言ったらしい。 豆腐のおからを「卯の花」、おからの和え物を「卯の花和え」と称し、己が家の庭に小鳥を呼び込むために競って垣根にウノハナを植えたところから、「卯の花の匂う垣根にホトトギス早も来啼きて、忍び音もらす夏は来ぬ」と言う、佐々木信綱作詩、小山作之助作曲の大正時代の名曲が生まれたが、万葉集には、ウノハナとホトトギスを組み合わせた歌が20首以上あるというから、日本人のウノハナ好きは半端ではなく、欧米人のライラック(リラ)好きに匹敵するのではないだろうか。
万博日本庭園で、この花を撮影している最中にふと、
卯の花をかざしに関の晴れ着かな 芭蕉
と言う句が浮かび、呪文のように繰り返し繰り返し唱えながら、カメラのシャッターを切っていたが、いまさらながら芭蕉の感性の新しさに気づかされたような気がして嬉しかった。
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